健康のために日々の食事や運動に気をつかっていても、身体の中で静かに進行する病気には気づきにくいこともあります。
今回お話を伺ったのは、28歳で大腸がんの宣告を受けた森山さん。
彼女を早期発見に導いたきっかけは、毎日の「うんちの変化」に気づいたことでした。
うんちは、健康状態を映し出す“おなかからの手紙”です。
森山さん自身に起こった小さな変化に着目することでわかったリアルな体験談は、今を生きる私たちすべてにとって大切な気づきを与えてくれるのではないでしょうか。
インタビューを通して、観便の大切さについて考えてみませんか。
体験者プロフィール

森山さん(28歳女性)
職業はWEB関係で在宅ワーク。夫と2歳の娘の3人家族。28歳のときに大腸がんステージⅠと診断される。
大腸がんがみつかるまでの記録
・2024年2月 体調不良(発熱・下痢が続く)
・2024年4月 トイレへ行くと血で真っ赤に。病院で「虚血性大腸炎の疑い」と言われ帰宅
・2024年5月 症状が落ち着き病院では問題なしと言われる
・2024年6月 健康診断にて便潜血検査を受け、「陽性」の結果が届く
・2024年7月 大腸内視鏡検査を受け大腸がんと診断
総合病院へ行き、ステージⅠ〜Ⅲのいずれかと言われる
・2024年8月 腹腔鏡手術を受ける
・2024年9月 大腸がんステージIと診断される
大腸がんに気づいたきっかけは、うんちの異変に気づいたことでした
森山さんが最初に異変に気づいたのは、うんちの形状の変化でした。

2024年2月ごろから発熱を繰り返したり、体調不良が続いていました。
ウンログを振り返ると、下痢や細い便が続くなど1カ月近くまともな便が出ていないことに気づきました。それまで、『そこまで体調不良ではない』と思っていましたが、ウンログの記録で可視化されると、そのうんちの質の異常さに驚いたのを覚えています。
▼2月:体調不良が続き、下痢や細い便がでるようになる。

▼3月:細い便や下痢を繰り返すように。

▼4月15日:便器が真っ赤になるほどの血便が出る。

うんちが変化しはじめて2ヶ月後の4月、お腹が痛くなりトイレに行くと、便器が真っ赤になるほどの出血。
「これはまずい」と病院で診察を受けると、「虚血性大腸炎かもしれません。2週間経っても治らなければ大腸内視鏡検査を検討しましょう」と言われたそう。整腸剤と漢方を処方され、症状は1週間ほどで改善したそうです。
5月に再び病院を受診しますが、症状が改善していたため検査もせずそのまま帰宅。普通だったら安心して「治った」と思う人が多いかもしれません。しかし、森山さんのお母様とお祖父様が大腸がんを経験していたこともあり、「嫌な感じがする」とこの時感じていたそうです。
まさか自分が。信じられなかった大腸がんの診断
その後うんちの状態はそこまで気になることもなく、“普通”に戻っていたそうです(これはご自身の体でただ感じたことだそうですが、恐らく病院で出された薬を飲んでいたからかもとのこと)。
ただ、5月の再受診後から胸騒ぎが治まらなかった森山さんは、7月に受ける予定だった健康診断を6月に前倒ししたそう。さらに、オプションで「便潜血検査(検便)」も一緒に受けることに。
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2週間後に届いた結果は「陽性」。すぐに病院を予約し、7月に大腸内視鏡検査を受け、その後「大腸がん」と診断されました。
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大腸がんと診断された時の気持ちは、不安・恐怖・悲しみです。28年生きてきて、初めて「死」に近い場所にいると感じました。若くして『がん』になる確率は低いですし、周りにも同じような人はいません。 変なプライドもあり、『同情されたくない!』という気持ちが強く、無理に明るく振る舞って、家族や友人、仕事関係の人に報告するときも、「がんになっちゃった! がーん!」みたいなテンションでなるべく『明るく』伝えていましたね。 ただ内心は、大腸がんと告げられたとき、入院初日に娘と離れたときは涙が出ました。でも、現実は変えられないため、『どんな状況でも受け止めるぞ』と覚悟しました。
その後、総合病院で精密検査を受け、手術が決まりました。

森山さんの大腸がんは、上行結腸(じょうこうけっちょう)という場所に腫瘍がありました。手術は、上行結腸という盲腸から上側へいく腸を切除したそうです。
ロボット内視鏡手術を受け、退院してから2週間後、病理検査の結果が出たそう。結果は「ステージⅠ」。

森山さんがこのとき担当医師から説明を受けた内容は以下。
・ステージⅠ…「大腸は、粘膜・粘膜下層・固有筋層・腹膜といくつもの層で構成されており、がんが固有筋層にとどまり、リンパ節への転移がない場合
・ステージⅡ…固有筋層を超える場合はステージⅡ
・ステージⅢ…がんの深さに関係なく腫瘍周囲のリンパ節への転移が見つかった場合はステージⅢ
森山さんの腫瘍は、粘膜下層を超えて固有筋層に達していましたが、摘出したリンパ節への転移は確認されなかったため、「ステージⅠ」と診断されたそうです。
「うんちが教えてくれた」早期発見につながった気づき
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術前に2日、術後7日間の入院生活だったそうですが、術前2日前から絶食生活。術後、はじめてご飯を口にしたときは、「食べられるって最高だー!」と、かみしめながら味わったそうです。
その後、森山さんの生活はがらりと変わったといいます。


大腸がんとわかる前は野菜はほとんど食べず、お肉ばかり。食物繊維なんて意識したこともありませんでした。
大腸がんの発症理由のひとつとして「食」が大きく関わっていると知り、現在は「野菜」「魚」「食物繊維」「発酵食品」を中心にとっているといいます。
また、一番変わったというのが朝食。大腸がんになる前はコンビニの甘いパンだったのが、今は無糖ヨーグルトにバナナとハトムギ、青汁や豆乳甘酒で作ったスムージーなどを飲むようになったそう。

基礎体温を上げるよう冷え対策を心がけたり、仕事の合間にフラフープを回したり、ストレッチをしたり。在宅ワークのなかで運動不足になりがちになりながらも、隙間時間に少しずつ体を動かすよう心がけているそうです。
また、腸活を意識した食事をとるようになってからは熱を出すことも少なくなり、産後なかなか減らなかった体重がみるみる落ちて、半年で6kg減ったそう。さらに、発酵食品が好きになり、「発酵食品ソムリエ」の資格を取得するまでになったとか。

現在森山さんがこのように自分の体と向き合う生活が送れるようになったのも、観便により体の異変に気づき、病気を見つけることができたからに他なりません。
今回森山さんの大腸がんの腫瘍があった上行結腸は、出血をしても便になるまで時間がかかるため、大腸がんの中でも発見されにくい部位の大腸がんと言われているそう。より、観便の大切さがわかります。

医師からは『早めに見つかってラッキーと思った方がいいですね』と言われました。健康診断も内視鏡検査も正直すごく憂鬱で、ずっと先延ばしにしていましたが、いざ病気が見つかったときに真っ先に思ったのは、『もっと早く受けていれば、未来が変わっていたのかもしれない』という後悔でした。
違和感を感じたとき、すぐに内視鏡検査を受けるのはハードルが高いと思う方もいるかもしれません。そうした場合でも、まずは病院で相談することが大切です。
そのうえで森山さんは「ふだんから観便を習慣にしておくと、自分の変化に気づきやすくなります」と話します。

ウンログを毎日つけることで、その当時の便の異常さに気づくことができました。私は毎日の観便に加え、いつもの健康診断に「便潜血検査」をプラスすることで、大腸がんに気づくことができました。まずは、できることから始めてみるのがいいと思います。
大腸がんは早期発見で生存率90%以上。若年層ほど“気づきにくい”からこそ観便を
近年、大腸がんは20〜30代でも増えているといわれています。
とくに若い世代は定期検診の機会も少なく、気づいたときには進行していたというケースも。
また、森山さんのように家事や育児、仕事に追われ、体調不良が続いても「これが母の使命だ!」と辛い体に鞭を打ちながらやり過ごし、自分の体のことは後回しにしてしまう方も少なくないのではないでしょうか。
「うんちに血が混じる」「細いうんちが続く」「下痢や便秘を繰り返す」などのサインを見逃さないことはとても大切。
それに気づくためには、毎日の観便でうんちの状態を把握することが重要です。
森山さんは今、ウンログアプリで毎日のうんちを記録し続けています。


毎日記録として残すようにしています。食事の内容や、女性の場合生理などの体調の変化がうんちの変化に繋がることがわかるんです。それに、ウンログを振り返って良い色や形だったりすると、その日食べた物を振り返ったりして活用しています。
毎日のうんちを見ること・記録することが、体の変化をいち早く察知するセルフチェックの第一歩になるのです。
「ちょっと変かも?」が、未来を変えるサインになる
うんちは、あなたの体からの大切なメッセージです。
毎日、少しだけ立ち止まって自分のうんちを観ること。それだけで、病気のサインを見逃さずに済むかもしれません。
観便習慣は、今、この時から誰でも始めることができます。
あなたのうんち、今日はどうでしたか?