トイレのナガセさん|003

2020-02-13
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連載「トイレのあとはナガセよ 」

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トイレにまつわる怖い話といえば、「花子さん」ではないか。小学生なら誰もが信じた…かどうかは微妙だが、それなりに盛り上がる話題であったのではないだろうか。しかし、残念なことに私はそんな話題には微動だにせず、女子が連れ合ってトイレに行く輪に入ることもなかったし(友達がいなかったわけではないと思う)、授業中に尿意・便意があれば元気に手をあげて「おトイレ宣言」できるような子供だったのである。

そんな私にも唯一心に残る怖いトイレが、高尾山駅の公衆トイレだ。小学校低学年の遠足に意気揚々と参加した私は、これよりいざ頂上へ!というタイミングのトイレ休憩でみんなと同じようにトイレに行き、トイレ列の最後尾に並んだ。自分が入る頃には同級生のほとんどが集合場所に戻っているが、私は悠長にうんちをしていた。悠長にというと語弊がある。当時から便秘気味だった私は、出すのに一苦労だった。しかも慣れない和式ボットン便所でのうんち。これは試練。

なんとかうんちを終えて外に出ようとすると、ドアが開かない。というか、閉めたカギが開かない。カギが開かない…カギ…。外からは、我が仲間たちが今にも頂上へ向けて出発しようかという雰囲気のテンションが伝わる。このままだと私は地下深くに落ちていった自分のうんちと誰かが気づいてくれるまで二人きりかもしれない。観光客じゃないだろう。バキュームカーか、バキュームカーがうんちを吸い上げに車でこのままか。

恐怖心でボットン便所の悪臭と汚さがどうでもよくなりそうだったことだけは覚えているが、どうやって救済されたのかは覚えていない。山頂で集合写真にちゃんと写っているので、当日中だったのは確かだ。

そしてその5年後、水洗トイレに生まれ変わっていた同じトイレで事件は起きる。中学に進学し、学年活動日に高尾山に行った私は、また同じトイレポイント周辺でもよおしてしまったのである。これは神が与えた試練か。過去のトラウマを乗り越えてみろということか。果敢にトイレで用を済ませた私は、勢いよく水洗レバーを下ろした。そのとき、私の服のポケットからお気に入りのハンカチが落ちた。そしてハンカチは流れていった。
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