腸内フローラの成熟化が乳幼児期の腸管感染への抵抗性をもたらす。慶応大学の研究グループが、そのメカニズムの1つを発見

2017-04-24
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「満1歳まで子供にはちみつを食べさせてはいけない」
これは母子手帳にも書いてある注意事項ですが、ハチミツに含まれるボツリヌス菌を摂取して、乳児ボツリヌス症に感染する可能性が高いからです。

でも、成長して食べれば問題ありません。
この他、生ものも子供が成長するまで控えましょうと指導されます。

子供と食べ物の関係は私たちが日常生活を送る上で気になるトピックの1つですね。

でも、これはどうしてでしょう? 今回、慶応大学の研究グループにより、その理由に大きな示唆を与えてくれる発表がされました。

乳幼児からの腸内フローラの成熟過程で、
どう感染抵抗性を高めるのか、分かっていないことが多い

乳幼児が腸管病原菌に感染しやすいことは良く知られ、その原因は、免疫系が未成熟であると考えられています。

そして、近年の研究によって、免疫系の発達や腸管病原菌への感染防御に、腸内細菌叢(腸内フローラ)が重要な役割を果たしていることが少しずつ明らかになってきています。特に生後3年の間で腸内細菌叢(腸内フローラ)が大きく変わって大人型のものへ成熟することが知られています。
しかし、この成熟過程では、何がどう作用して、感染抵抗性を高めていくのか……については未だに分かっていないことがたくさんありました。

クロストリジウムがサルモネラ感染に対する抵抗性を強める

今回、慶応大学の金 倫基(きむ ゆんぎ)准教授を中心とした研究グループは、乳児由来の腸内細菌叢(腸内フローラ)を無菌マウスに移植。移植する腸内細菌のパターンを変えた無菌マウスと比較して、サルモネラ菌への感染抵抗性について調べました。

その結果、「クロストリジウム目菌群」がサルモネラ感染に対する抵抗性を強めることを明らかにしました。

クロストリジウム目菌群はサルモネラに対する感染抵抗性を高くする
クロストリジウム目菌群はサルモネラに対する感染抵抗性を高くする(参考文献2より引用)

そして、その「クロストリジウム目菌群」の腸内増殖を乳児由来の腸内細菌叢(腸内フローラ)が促進するとのことです。

クロストリジウム目菌群は、乳児の腸内細菌叢が作る物質によって増殖が促進され、腸管病原菌感染の抵抗性を強化する。図右では、腸管粘膜上皮が形成されている。(参考文献2より引用)
クロストリジウム目菌群は、乳児の腸内細菌叢が作る物質によって増殖が促進され、腸管病原菌感染の抵抗性を強化する。図右では、腸管粘膜上皮が形成されている。(参考文献2より引用)

腸内細菌叢(腸内フローラ)と免疫(今回は、腸管感染症)の関係が、1つ明らかになった今回の研究ですが、今後、この研究をベースにした新たな予防・治療法開発等への期待が持てますね。

今回の研究は、慶應義塾大学、ミシガン大学(米国)、シカゴ大学(米国)の研究グループによる発表です。
この論文は、学術雑誌Science電子版に、4月21日に掲載されています。

参考文献

1) Yun-Gi Kim, Kei Sakamoto, Sang-Uk Seo, et al. : Neonatal acquisition of Clostridia species protects against colonization by bacterial pathogens. Science : 356, Issue 6335, 315-319. DOI: 10.1126/science.aag2029, 2017.
2) 慶應義塾大学:腸内細菌叢の成熟化が乳幼児期の腸管感染抵抗性をもたらすことを発見 ―特定の腸内細菌の獲得が腸管感染症予防のカギ―, プレスリリース, 2017.ース, 2017.

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