病の初期症状としての高齢者便秘 1 パーキンソン病

1. 加齢で便秘になるのはなぜ?

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若い頃はそうでなかった人も、年を重ねるにつれて悩まされるようになるのが便秘。高齢者にとって便秘は身近な症状の一つです。60代では30代の頃に比べて便秘のリスクが2倍になるというデータもあるほど。高齢者に便秘が見られる原因には次のようなものがあります。

腸の機能の低下

加齢にともなって起きるのが老化です。老化は腸にも及び、腸の機能が衰えることで、便秘のリスクが上がります。

筋肉の低下

年を重ねると、筋肉も衰えるようになります。筋肉の中には、便をいきむときに働く腹筋もあり、これが衰えることで腹圧がかけにくくなります。また、内臓を支えている筋肉が衰えることで、腸をはじめとする内臓が重力に従って下がることで、腸の本来の機能がスムーズに行われなくなる可能性があります。

食事や水分摂取量が減る

食が細い傾向にある高齢者。食べ物は便の材料にもなるので、十分な量を摂取しなければ、便自体が少なくなり便秘がちに。また、高齢者では喉の渇きに対し脳が鈍くなり、水分補給が減ることで、便が固くなりやくなります。

運動量が減る

高齢になると増えるのが足腰の痛みです。高齢者は足や腰の痛みにより、外に出るのがおっくうになる人が多くなるとか。運動する機会が減ることで、腸の動きも滞りがちになります。

薬の副作用

高齢になると体のどこかに不具合が生じて、薬を内服する機会が多くなります。中には、食事の度に手に一杯の錠剤を飲まなければいけない人もいるでしょう。薬の中には、副作用に腸などの消化管の動きを抑えるものもあり、便秘を引き起こすことがあります。

このように高齢者には便秘の原因が多くなります。上に挙げた原因のほかにも、大腸がんなど腸に何らかの病変があって起こる便秘もあります。便秘が病気の発見のきっかけになる場合もあるので、たかが便秘と思わないようにしたいものです。

2. 高齢者に多い「パーキンソン病」でも便秘は起こる

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便秘が症状である病気と言えば、腸の病気をイメージする人が多いかと思いますが、中には意外な病気もあります。その一つが、難病にも指定されている「パーキンソン病」です。

パーキンソン病は、中脳の黒質(こくしつ)と呼ばれる部分の神経細胞が減ってしまう病気です。黒質では「ドーパミン」と呼ばれる神経伝達物質によって、細胞間のやり取りが行われています。パーキンソン病はドーパミンが不足するため、身体や精神にさまざまな影響を与える病気です。

統計によれば、パーキンソン病は日本人65 歳以上の約 100 人に 1 人と言われており、中年から高齢者に多く見られる病気の一つです。実は、パーキンソン病と便秘に関するデータに、次のものがあります。

それは「50~70歳の便秘がちの高齢者では、パーキンソン病のリスクが3~4倍になる」というもの。便秘そのものがパーキンソン病を引き起こすわけではありませんが、病気に気付く前に、すでに自律神経に何らかの影響が出ていて、便秘を発症していたということも考えられるかもしれません。

3. こんな症状に当てはまったら迷わず受診

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症状に便秘も見られることのあるパーキンソン病では、その他にも次のような症状が現れます。

  • 片方の手足が震える
  • 筋肉や関節がこわばり、しびれる
  • 姿勢が前かがみなる
  • 歩くときに始めの一歩が出にくい
  • 表情が乏しくなる
  • 気分が落ち込みやすい

症状を見るとお分かりのように、パーキンソン病では運動機能精神面に影響が出ます。そのため、患者さんの中には活動に積極的でなくなることもあり、便秘になりやすくなります。また、パーキンソン病の治療薬には腸の動きを抑えるものもあり、病気が判明してからも便秘のコントロールが大切となります。

パーキンソン病自体は、命に関わる病気ではありませんが、患者さんのその後の健康的な生活に大きな影響が。上に挙げたような症状に心当たりのある人は、まずは病院を受診するようにしましょう。

5. まとめ

高齢者はさまざまな原因により、便秘になるリスクが高いといえます。

便秘の中には、大腸の病気や、パーキンソン病のように意外な病気が隠れていることもあります。高齢の家族がいる方は、普段から自分だけでなく、おじいちゃん、おばあちゃんの排便状況も気にかけるようにしたいですね。