「悪性のがんでした」
ドラマや映画、SNSで見かけるような言葉を、まさか自分が聞くことになるとは思っていなかったと語るのは、30代後半の女性・ヤマさん。
大腸がんは、どこか自分とは関係のない病気だと思っていたというヤマさんが大腸内視鏡検査を受けるきっかけになったのは、排便後に見つけた“ジャムのような血”。
さらに、少し前に身内に大腸がんが見つかったことや、ウンログの記事「【みんなのリアル体験談】28歳で大腸がん宣告。救ってくれたのは“便の異変”でした」を読んだことでした。
検査後に医師から「検査して本当に良かったですよ」と言われたヤマさん。
この記事では、検査を受けるまでの葛藤や、はじめての大腸内視鏡検査の流れ、そして早期がんが見つかったあとに感じたことを伺いました。
体験者プロフィール

ヤマさん(39歳女性)
ウンログ歴10年以上。職業はWEB関係。38歳で大腸内視鏡検査をし、大腸ポリープのなかに早期がん(ステージ1)が見つかる。
症状はあった?検査前に感じていた3つの違和感

検査を受ける前、ヤマさんのからだには大きく3つの変化があったといいます。
胃の不調
最初に不調を感じたのは、2025年9月下旬ごろ。
胃がキリキリと痛くなり、あまり量も食べられなくなっていたそうです。
胃の薬を飲んだり、おなかにやさしいごはんを選んで食べたりして、少しずつ回復はしていたものの、「絶好調」とは言えない日々が続きます。
寝込むほどではないけど、なんとなく本調子ではないというような、言葉にしづらい不調がじんわりとずっと続いている感覚だったそうです。
排便時のおしりの痛み
10月下旬くらいから、排便時におしりにピリッとした痛みを感じるようになっていました。
時々、そのような状態になることがあり、すぐ治っていたことからあまり気にしていなかったそうですが、このときは継続的に「ピリッ」を感じることが多くなっていました。
排便後に見つけたジャムのような血

そんな状態のなか、11月13日に排便をしたあと、便にジャムのような血がついているのを見つけます。
ネットで調べてみると、出てきたのは「粘血便」という言葉。
「腸の危険信号」
「腸の粘膜が炎症を起こしている可能性」
そして、考えられる病気のなかには「大腸がん」の文字もあったそうです。
もちろん、すぐにがんだと思ったわけではありませんでした。
「9月からの胃の不調が関係しているのかもしれない」
「少し前から排便時にお尻がピリッと痛かったから、痔かもしれない」
そうやって、できれば軽い理由であってほしいと思っていたそう。
でも、不安は消えなかったといいます。
「痔かもしれない」で終わらせなかった理由
正直最初は、「痔だと思うから、痔の診断をしてもらうために病院に行こう」と思っていたそうです。
ただ、「これまでの違和感や身内のことも伝えて、大腸内視鏡検査を受けることを迷っていることも伝えよう」とも。

ウンログの「28歳で大腸がんになった方」の記事を読んで、早期発見の大切さが頭に残っていました。身内にも大腸がんに罹患した人がいたので、気になることがあるなら、検査は早めに受けたほうがいいとは思っていました。
そこで近くで大腸内視鏡検査ができる病院を探し、すぐ近くの病院を見つけ、すぐに予約しました
それでも、検査を予約するまでに、たくさんの葛藤があったといいます。

面倒だし、恥ずかしいし、怖かったです。でも、見ないふりをするほうが、もっと怖い気がしました。
ネットで検索するたびに不安になる要素が増えていって、頭の中がそればかりになるまま生活を続ける方がしんどかったんです。
怖かった。
でも、不調の原因がわからないまま日常を過ごす方がもっと怖かった。
その気持ちが、検査へ向かう最後の後押しになったそうです。
はじめての大腸内視鏡検査。受ける前に不安だったこと

大腸内視鏡検査を受けると決めたものの、何かあるとすぐネットで調べてしまうタイプのヤマさん。検査前には、よくも悪くもいろいろな情報が目に入ってきたそうです。
不安だったのは、たとえばこんなことでした。
先生とはいえ、お尻見られることに抵抗はなかった?

これは、もう考えないことにしました(笑)
もちろん恥ずかしさはあります。でも、先生にとっては日々行っている医療行為です。私が思っているほど、特別なことではないのだろうと思うようにしました。
がんが見つかったらという不安は?

一番怖かったのは、「がんが見つかったらどうしよう」という不安でした。でも、怖いから検査をしないでいると、見つかるはずのものも見つかりません。
この違和感の原因がわからないまま不安を抱え続けるよりも、早めに診てもらった方がいいと思うようになりました。
身内に、放置した結果ステージ4になった人が身近にいて、それからの治療や入院、生活の大変さを目の当たりにしていたことも大きかったと思います。
検査は下(お尻)から?それとも上(口)から?

これは、私の場合はどちらもでした。
私が行った病院は鎮静剤を使用することで、苦痛なく検査が実施できるとうたった病院でした。
大腸を診てほしくて病院にかかりましたが、胃の調子も悪かったと伝えていたため、「一緒に検査できますよ」と案内していただき、どちらも同時に検査していただくことにしました。
大腸はお尻から、胃は口から検査をしていただきました。
検査って痛くないの?

鎮静剤を使用していたため、お尻に入ったこともわかりませんでした。腸には痛覚がないため基本的には痛くないそうですが、個人差はあるかもしれません。
ちなみに初診でアルコールが弱いかを聞かれました。私は弱いと伝えましたが、アルコールに強いか弱いかでも、鎮静剤の効きに違いがあるそうです。
検査前にあれだけ怖がっていたのに、大腸カメラの際にはまったく違和感もなく、胃の検査をしたであろう口からのカメラの時にはすでに深い眠りのなかにいて、まったく気づきませんでした。
今回検査を受けたことで内視鏡検査のハードルが下がり、定期的に受けようと思える良いきっかけができたと思っています。
下剤を飲むのは辛い?

これは私も、かなり心配していました。
ネットでも「下剤がきつかった」という声はよく見かけていたので、検査そのものと同じくらい恐れていた部分です。
私が飲んだ下剤は「モビプレップ」という下剤でした。粉状で水に溶かすタイプのもので、味は濃いスポーツドリンクのような印象です。
ただ、「あらかじめ冷やしたら飲みやすい」とアドバイスを受けていたこともあり、検査の前日に作って冷蔵庫に保管しておいたため、当日はまったく苦なく飲みすすめることができました。
もちろん、感じ方には個人差があると思いますが、少なくとも私の場合は「想像していたほどではまったくなく、辛くなかった」というのが正直な感想で、これも定期的に検査を受けたいと思えるきっかけのひとつです。
検査前日。準備はここからはじまった
検査は、前日の事前準備からはじまります。
朝から消化のよいものを中心に食べ、18時までに夜ごはんを済ませておくように言われたそうです。

また、「ピコスルファートナトリウム」という下剤も服用。お茶や水はなるべくとるようにとのこと。
そして、翌日に飲む「モビプレップ」の準備。

大きな袋のなかには粉末の薬が入っていて、そこに2リットルの水を入れます。よく振って粉末が溶けたら準備完了。
当日朝に作ってもよいのですが、事前情報として冷やしておいた方が圧倒的に飲みやすいとのことで、そのまま冷蔵庫で冷やします。

検査前日の夜は、どこか落ち着きませんでした。
明日、何か見つかったらどうしよう。でも、何もなかったらそれで安心できる。もし何かあるなら、早く見つかったほうがいい。
そんなことを考えながら、眠りにつきました。
検査当日。下剤を飲んで、おなかを空っぽにする
当日の朝食は抜き。水分はできるだけとります。
病院へは13時30分に向かう予定で、冷蔵庫に仕込んでおいた「モビプレップ」を朝9時から飲みはじめます。
順番は、こちら。

「下剤をコップ1杯」→「下剤をコップ1杯」→「水をコップ1杯」という流れ。
一杯15分で飲みきるスケジュールです。
水を間に挟む理由は、下剤は体内に吸収しないため、脱水症状を起こしてしまうからだそう。そのため、水を飲むのは必須です。

下剤の「モビプレップ」はしっかりと冷やしておいたからか、ちょっと濃い目のスポーツドリンクのような味わいで、最後まで苦なく飲み切ることができました。
下剤を服用してから52分後、最初の排便があったそう。
その約15分後から本格的に排便がはじまり、透明になったのは2時間半後。

私の場合、排便しすぎてお尻が痛くなることもなく、また病院へ向かう途中で便意を催すようなこともなく、すべて出し切った状態で検査に挑むことができました。
いよいよ検査へ。気づいたら終わっていた
病院に到着すると、まずはお尻部分に穴の開いた検査着に着替えます。
この時点では、まだ少し緊張していました。
検査台の上に横になり、鎮静剤を入れてもらうと、少しずつうとうとしてきたそう。
また、「大腸にポリープがあったらとるか」とも聞かれていて、「とってください」とお願いしたそうです。

一度先生から「ポリープがあったのでとりますね」と聞かれ「はい」と答えたところまでは覚えていたのですが、そのあとはもう意識がなく、気づいたら検査は終わっていてベッドの上でした。
その後1時間ほど鎮静剤が落ち着くまで眠り、起床後に再度先生に呼ばれたそうです。
すると「検査して良かったですよ!」という第一声があったとか。
検査の結果、なんとポリープが4つ見つかったそうです。
その日検査で撮影した画像も見せてもらったそうですが、ネットの「大腸 ポリープ」という検索結果で見たことがあるような、ぽこっとしたポリープが映っていたそうです。
その日見つけた4つのポリープは、検査の際にすべてきれいにとってくれたそう。
そして、「止血している状況だから、このあと排便の際に血が出る可能性があること」「激しい運動は控えて、食事も徐々に普段のものに変えていってほしいこと」など、いくつか注意事項を伝えられたといいます。
ちなみに、胃はほとんど異常なくきれいだったそうです。
とったポリープは病理検査にかけ、2週間後に結果を聞きに病院へ向かうことに。
このときは、「たぶん全部良性だと思いますけどね」と言われたそうです。
2週間後。「ひとつ、がんが含まれていました」
検査から2週間後
診察室に入っての第一声は、またしても「検査して本当に良かったですよ!」でした。
そして、続けてこう言われたそう。
「ひとつ、がんが含まれていました。つまりステージ1でした」
ーーー
一瞬、言葉の意味をうまく受け止められなかったといいます。
4つ取ったポリープのうち、ひとつにがんが含まれていたそうです。
以前撮ったポリープの画像を見ながら、一つひとつ丁寧に説明してくれたそうです。

がんが含まれていたポリープの先端部分が、悪性になっていたこと。
ただ、該当のポリープはきれいに除去できている、と伝えられたといいます。(切除部分には悪性の部分は含まれていなかったため、ポリープの先端にとどまった早期がんがきれいに取り除かれている状態)

気持ちが大きく揺れて唖然としながらも、先生の話を聞き逃さないようにと必死だったと思います。そして、このタイミングで検査しようと思った私、グッジョブすぎる…と思いました。
さらに先生からは、「もし、ポリープがあるままの状態だったら、がんが進行してしまっていたと思う」と言われたそう。そして、「良性も悪性に変わることがあるので、この段階で悪性じゃないものもとれて良かったと思う」と言われたそうです。
今回、さまざまなきっかけにより検査に臨んだヤマさんでしたが、「もう少し検査が遅れていたら、状況はかなり違っていたかもしれない」と感じたといいます。
痔もあった。でも、それだけではなかった
ちなみに先生いわく、ヤマさんは痔も併発していたそうです。
粘血便の原因が痔だったかは定かではないですが、お尻にピリッとした違和感がある場合、痔による痛みや出血の可能性は高いそうです。
一方で、大腸内の粘膜部分は痛みを感じにくいとされているため、大腸の病気は進行しても気づきにくいことがあるそうです。
よくSNSなどでも、「血便が出たけど、痔かな」という投稿を見かけます。
もちろん、痔の可能性もあります。それに、一時的な炎症など、別の理由で起こることもあります。ただ、がんの可能性も否定できません。
「自己判断で『きっと大丈夫』と決めきってしまい、もし検査を受けていなかったらと思うと…検査を受けて本当に良かった」とヤマさんは話します。
今回のヤマさんには、痔もありました。
でも、それだけではありませんでした。
だからこそ、「便に血がつく」「粘液のような血が混じる」「いつもと違う状態が続く」、そんなときはひとりで判断せず、医師に相談してほしいといいます。
検査を経て思うこと

検査後は少しずついつもの便の状態に戻っていったそう。
そのなかでヤマさんが気づいたのが、便の太さの変化でした。

検査をしたあとの便が、検査前より明らかに太くなっていました。長い期間をかけてできたポリープが、便を細くしていたのかもしれません。
少しずつ変わっていたからこそ、自分では気づけなかったのかもと思いました。
また、家族に結果を伝えたとき、あらためて「自分は“がん”だったのだ」と実感したといいます。

家族に「ポリープのひとつががんだったみたいなんだけど、きれいにとってくれたみたい」と伝えたときに、「あ、私がんだったんだ」と実感して自然と涙がこぼれてきました。
このタイミングで自分の直感にしたがって検査を受けて良かったと、心の底から感じました。
大腸内視鏡検査に抵抗がある人は、少なくないかもしれません。
ヤマさん自身も、検査を受ける前は「痛そう」「下剤がつらそう」「がんが見つかったらどうしよう」と、不安でいっぱいだったそうです。
それでも、検査を受けたことで病気を見つけることができました。

検査に抵抗がある人もいると思います。私もそうでした。
でも、怖がりでネット検索ばかりして不安になっていた私でも、検査を受けることができました。自分に合う病院を探して、まずは相談してみるだけでも、不安は少し変わるかもしれません。
先生からは、「大腸がんは早期発見が大切で、定期的な検査が自分を守ることにつながる」と説明されたそうです。そしてヤマさんは、1年後にまた大腸内視鏡検査を受ける予定だそうです。
便を見ることは、自分のからだを知ること
便の色や形、出方は、日々少しずつ変わります。
その多くは、食事や睡眠、ストレス、生活リズムなど、日常の影響によるものかもしれません。
でもときには、からだからの大切なサインが隠れていることもあります。
実際、今回検査を受けたヤマさんも、一般的に大腸がん検診が意識されやすい年代より若いタイミングで、ポリープが見つかりました。
今回の体験談で印象的だったのは、「痔かもしれない」と思いながらも、便の異変をそのままにせず、検査という行動につなげたことでした。
おなかの不調や便の変化は、誰かに話しづらいものです。
検査に抵抗を感じる人も少なくありません。
それでもひとりで抱え込まず、医師に相談することで、早く気づけることがあります。
毎日の観便で「いつもと違うかも」と気づいたとき、その違和感を見逃さないこと。そして、必要なときには医療につながること。
それもまた、自分のからだと無理なく付き合っていくための、大切な選択肢ではないでしょうか。
特別なことをしなくても、まずは「うんちを見る」ことからはじめられます。
今日のうんちを、自分のからだを知るきっかけにしてみませんか。

