食物繊維がおいしくとれる和スイーツ「ぜんざい」
甘くて温かい「ぜんざい」は、寒い冬の日に食べると体はもちろん、心までぽかぽか温まり、幸せな気持ちになれますよね。
ぜんざいは日本人にとって昔から親しみのある食べ物ですが、その歴史は古く、テレビアニメの「一休さん」で有名な、室町時代の「一休宗純(いっきゅうそうじゅん)」が最初に食べたとされる説もあるほどです。
ほかにも出雲地方の神事で使われた「神在(じんざい)餅」が訛ったものとされる説もあり、いずれにしても昔から馴染みのある甘味であることに違いはありません。
現在では和スイーツとして特に女性に人気がありますが、その理由は甘くて温かいからというだけではなく、ぜんさいの原料である「小豆(あずき)」に、腸内環境を整える豊富な食物繊維が含まれていることも挙げられるのです。
今回はそんなぜんざいが、腸内環境に与える影響についてご紹介したいと思います。
古事記にも出てきた?!古来より神秘的な食べ物として扱われてきた小豆の歴史
ぜんざいの原料である小豆は、東アジア原産のマメ亜科であるササゲ属に属する1年草で、日本では縄文時代の遺跡から発掘されるほど馴染みの深い食物です。
小豆の赤い色は、神社の柱や鳥居などを見てもわかるように、霊妙なる色として古来より厄除けの効果があると信じられ、さまざまな儀式や行事に使われてきました。
今でも鏡開きのときに小豆で作ったぜんざいを食べる風習がありますよね。お正月に迎えた年神様の依り代となるものが鏡餅で、その鏡餅を開く(割ると同じ意味ですが、「割る」は縁起が悪いため「開く」という)ことで年神様を見送ります。年神様の力が宿った餅を食べることでお正月に一区切りをつけ、1年の無病息災を願います。その際、同じく神通力のある小豆を使ったぜんさいと一緒に食べることで、さらなる相乗効果をのぞむのです。
小豆に含まれる食物繊維はごぼうの2倍!不足しがちな食物繊維をぜんざいで手軽に摂取しよう
古来より日本人の生活と密接な結びつきのある小豆ですが、最近では美容と健康に良い食べ物として認知されるようになってきました。
その理由は小豆に含まれる豊富な栄養素にあります。
小豆には良質なたんぱく質はもちろん、体の代謝をサポートするビタミンB群、アンチエイジング(若返り効果)に欠かせない抗酸化作用の高いサポニン、貧血予防の鉄分など、注目したい栄養素が豊富に存在し、中でも食物繊維はごぼうの2倍も含まれています。
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、そのどちらも必要です。
摂取する理想的な割合は、不溶性食物繊維2に対し、水溶性食物繊維1といわれています。
そして小豆は100g中、水溶性食物繊維0.8g、不溶性食物繊維11gと圧倒的に不溶性食物繊維が多く、不溶性食物繊維だけを考えると、食品の中でもトップクラスを誇るのです。
不溶性食物繊維は主に植物の細胞膜を構成しているのですが、すきまが多く立体的な構造をしているため、保水性が高いといわれています。
また、不溶性食物繊維は「不溶性」という文字からもわかりますが、水に溶けません。不溶性食物繊維は、吸水して大きくなった状態で腸を刺激しながら進んでいくので、大腸全体の収縮活動に影響を与えます。つまり、自然な便通を助ける栄養素なのです。
水溶性食物繊維は植物の細胞内に存在する成分で、水に溶けるとゲル状になることが特徴です。
胃や腸内でほかの食べ物を包み込むため、腸内を移動する速度が遅くなり、おなかが減るのを抑えます。さらには余分な糖質が腸内から吸収されることを防止し、血糖値の上昇を抑える働きもしてくれます。
日本人女性には水溶性食物繊維が不足しがちといわれていますが、不溶性食物繊維が足りているというわけではありません。食生活の欧米化により、肉類や乳製品の摂取が増え、食物繊維自体の不足が深刻になっています。
不足した食物繊維を補う方法がいろいろありますが、せっかく寒い日が続きますので、心も体も温かくなるぜんざいを食べてみてはいかがでしょうか?
小倉トースト好きなら絶対におすすめ!ぜんざいトーストの作り方
最後にぜんざいのおいしい食べ方について紹介します。
今おすすめなのが「ぜんざいトースト」です。市販のお餅を横に薄くスライスします。お餅を食パンの上に均等に並べ、そのままオーブンで焼きます。事前にぜんざいをヨーグルト程度の固さまで煮詰めておき、焼き上がったトーストに好きなだけのせます。
小倉トーストにお餅の食感が加わった感じで手軽でおいしいと評判です。一度お試しください。
ライター Piron3
食品会社で働く傍ら、うんトピで記事執筆中。
食品がスゴク腸活に役立つことを知って、今更ながらびっくり!
仕事の経験と知識を活かし、老若男女にわかりやすい記事の執筆を心がけます。