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アトピー性皮膚炎の予防には皮膚と腸内細菌がカギになる

日本におけるアトピー性皮膚炎の患者数は増加傾向であり、厚生労働省が発表した平成26年度の患者調査によると過去最高の45.6万人に達しました。また、アトピー性皮膚炎は子どもの約10%がかかっているといわれています。
アトピー性皮膚炎では、かゆみのある皮膚の湿疹が特徴的な症状なので皮膚の病気と考えられていますが、最近ではアトピー性皮膚炎の予防に腸内環境も注目されています。今回は、アトピー性皮膚炎と腸内細菌に関する研究を紹介します。

Elvira Koneva/Shutterstock.com

アトピー性皮膚炎の原因はきれいすぎる環境!?

日本においてアトピー性皮膚炎は、約30年前と比べて2倍に増えています。また、先進国では発展途上国に比べてアトピー性皮膚炎を発症する人が多いことがわかっています。 では、日本を含めた先進国でアトピー性皮膚炎が多い理由はなぜでしょうか。 先進国の方が衛生面や栄養面において、発展途上国より良い環境であると想像できます。一方で、先進国では過剰な糖質や脂質を摂取している人が多いだけでなく、大気汚染による皮膚への刺激やストレス、生活習慣の乱れなどが健康に悪影響を与えているのではないかと考えられています。 また、親が子どもの小さい頃から衛生面を気にしすぎるため、昔は自然に体の中に取り込まれていた菌を現代の子どもは取り込めず、結果的にアレルギーを起こしやすい体になっているのではないかといわれています。 実際にニュージーランドで行われた研究では、一般的に良くない癖といわれている指しゃぶりや爪をかむ行為をしている子どもの方が、アトピー性皮膚炎を起こしづらいことが明らかになっています。つまり、指しゃぶりや爪かみなどによって細菌を体に取り込んでいた方がアトピー性皮膚炎を発症しにくいということです。
Thumb-Sucking, Nail-Biting, and Atopic Sensitization, Asthma, and Hay Fever. を元に引用改変

アトピー性皮膚炎と腸内細菌の関係とは

アトピー性皮膚炎では、かゆみのある湿疹や皮膚の赤み、かさかさと乾燥した肌などが特徴的な症状として見られます。また、アトピー性皮膚炎の患者さんは食物アレルギーや鼻炎、喘息など他のアレルギー素因をもっていることが多いといわれています。そのため、今までは皮膚のバリア機能やアレルギー体質に関する研究がさかんに行われていました。 しかし、最近ではアトピー性皮膚炎と腸内細菌の関係に注目が集まっています。 アメリカの研究チームは、生後1-11か月の乳児298名を対象に、腸内細菌とアトピー性皮膚炎のリスクに関する調査を行いました。 すると、アトピー性皮膚炎のリスクが高いグループにおいて腸内細菌の多様性が低く、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の割合が少ないことがわかりました。また、アトピー性皮膚炎を発症するリスクの高い便に含まれる腸内細菌そうは、炎症を引き起こしやすいことも明らかになりました。 また、オランダとドイツの共同研究チームによると606名のアレルギー素因をもつ親から生まれた新生児を対象に便や分娩方法、授乳、兄弟数に関して調査したところ、アトピー性皮膚炎の発症に関連する腸内細菌の存在が明らかになりました。 具体的にはアトピー性皮膚炎を発症するリスクが高いグループでは、クロストリジウム属の腸内細菌が増加していました。また、兄弟数が多いと乳酸菌やバクテロイデスの割合が増え、反対にアトピーの発症リスクと関連するクロストリジウム属の細菌は減っていることがわかりました。 つまり、アトピー性皮膚炎の発症にクロストリジウム属の腸内細菌と兄弟数が関連していることが明らかになりました。 兄弟数が多いことは、小さい頃からさまざまな細菌に触れることを意味するので、適度に体内に細菌が取り込まれてアレルギーを引き起こしづらくなるのではないかと考えられています。

アトピー性皮膚炎の予防には保湿剤の塗布と腸内細菌を整えるとよいかも

今までの研究から分娩方法(経膣分娩か帝王切開)や母乳を与える期間、子どもの頃からの習慣(指しゃぶり、爪かみなど)、兄弟数、腸内環境などがアトピー性皮膚炎と関連するといわれてきましたが、予防するにはどのようにすればよいのでしょうか。経膣分娩や母乳は、乳児の腸内環境に良い影響を与えるといわれています。兄弟数も多い方が良いようです。 しかし、これらの要因は母親の状況や家庭環境によるので予防法としては難しい方もいるはずです。また、アトピー性皮膚炎の予防に指しゃぶりや爪かみが良いといわれても悪い癖と捉えている方も多いですし、歯や歯肉に与える影響を考えると子どもに勧めるのはためらわれるかもしれません。 日本の成育医療センターが行った研究では、新生児期から保湿剤を皮膚に塗るとアトピー性皮膚炎の発症リスクを3割低下させることが明らかになっています。
Application of moisturizer to neonates prevents development of atopic dermatitis.を元に引用改変
また、善玉菌を含むプロバイオティクスと食物繊維などを含むプレバイオティクスを組み合わせたものを摂取するとアトピー性皮膚炎の発症を抑えられるという結果もあります。プロバイオティクスには、1種類ではなく、多くの種類の善玉菌が含まれていた方がよい効果を期待できるそうです。 他にも、妊娠後期から産後まで母親がプロバイオティクスを摂取すると子どものアトピー性皮膚炎の発症を予防できることが明らかになっています。 現時点ではアトピー性皮膚炎の予防として、肌に保湿剤を塗ることと妊娠中や授乳中の母親や子どもの腸内環境を整えることが良いという可能性が示されています。

さいごに

アトピー性皮膚炎は、他のアレルギー疾患と共に日本をはじめとする先進国で増加傾向のようです。アトピー性皮膚炎は一度発症すると繰り返してしまうことも多いので、発症を予防することが大切です。 保湿剤の塗布や善玉菌を含むプロバイオティクスなどは体にも優しそうですし、アトピー性皮膚炎の予防法として期待が高まります。

参考文献

参照サイト

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/

http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000328.html

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