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寒い冬には腸内細菌が体を温めてくれている!?気温と腸内細菌の関係とは

気温が急に低くなって冬の到来を感じるようになる頃に、体調を崩して風邪をひいてしまう人も多いのではないでしょうか。一方で、代謝がよく、冬でも寒さに強い体質の人もいます。寒さに強いか弱いかは、もしかしたら腸内細菌によって決められているかもしれません。今回は、気温と腸内細菌に関する最新研究をわかりやすく紹介します。

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寒い時に熱を産生するベージュ細胞とは

脂肪細胞と聞くと、まず肥満を思い浮かべるかもしれません。確かに脂肪細胞は肥満や代謝と関わっていますが、寒い時に熱を産生するという大切な役割もあります。

ヒトには大きく分けて2つの脂肪細胞が存在します。白色脂肪細胞褐色脂肪細胞です。

白色脂肪細胞は、いわゆる肥満と関わる細胞で皮膚の下や内臓の周りにあり体の中の余分なエネルギーを蓄える役割があります。
一方で、褐色脂肪細胞は主に鎖骨や胸の周りにあり、脂肪を燃やして熱を産生する役割があります。褐色細胞は、肥満の治療や予防において重要な細胞と考えられており、近年さかんに研究されています。

ところで、もう一つ最近注目されている脂肪細胞が存在します。
白色脂肪細胞と一緒に存在する細胞でベージュ細胞あるいはブライト細胞とよばれています。
ベージュ細胞は、「低温」という刺激が加わると、褐色細胞のように熱を産生します。白色脂肪細胞と混在するものの、はたらきは褐色脂肪細胞に似ているということです。

まだベージュ細胞が熱産生を行うメカニズムは全て解明できているわけではありません。もし解明できれば、世界的に問題となっている肥満の解決策になるのではないかと期待されています。

寒い冬には腸内細菌が体を温めてくれる

スイスの研究チームは、寒さによってベージュ細胞が熱を産生するようになるのであれば腸内細菌にも寒さで何か変化が起きているのではないかと考えました。
研究チームはマウスを対象に、寒冷刺激によって腸内細菌が変化し寒さに抵抗できるような体に調整する可能性があることを2015年12月に「Cell」誌に発表しました。

まず研究チームは、6℃という寒い環境でマウスを生活させました。比較するために室温で生活させるマウスも用意しました。
寒冷刺激を与えられたマウスではエネルギーの消費量や熱産生を行うベージュ細胞が増え、血糖値を下げるホルモンであるインスリンも効きやすい体に変化していました。これらの変化は、寒い状況下でも抵抗できるようになるためと考えられました。さらに、腸で栄養を吸収している絨毛(じゅうもう)が長くなり、栄養を吸収しやすくなることがわかりました。つまり、食べ物が腸の中に長くとどまることができるようになるので、寒さに抵抗するために必要な栄養を逃しにくいようになっていました。

研究チームは、寒冷による体の変化が腸内細菌によって影響を受けているか調べるために寒い環境で生活したマウスの腸内細菌を移植しました。すると、寒冷刺激を受けたマウスの腸内細菌は、移植を受けたマウスの熱産生を増やし、小腸や絨毛を長くし、腸の表面積を広くすることがわかりました。

Gut Microbiota Orchestrates Energy Homeostasis during Cold.を元に引用改変

今回の結果から、寒冷刺激を受けたマウスの腸内細菌を移植すれば寒さに強い体になる可能性が明らかになりました。

次に、研究チームは気温の変化に関わる腸内細菌をつきとめようと考えました。最近の研究で、腸の表面積が低下するようにはたらきかけるアッカーマンシア・ムシニフィラが注目されています。
そこで、研究チームが調べたところ低温環境にさらされたマウスの腸管内ではアッカーマンシア・ムシニフィラの細菌数が低下していることがわかりました。低温の場合には、腸の表面積を増加させなくてはいけないので、表面積を小さくする作用のあるアッカーマンシア・ムシニフィラの割合が低下するということです。

今回の研究結果から、低温の環境下では体が適応するだけでなく腸内細菌のバランスも変化すること、寒さに抵抗するために腸内細菌が関わっている可能性があること、低温にさらされた腸内細菌を移植すれば寒さに強い体を手に入れられる可能があることがわかりました。
今回はマウスを対象とした研究なので、今後寒い地域に住むヒトと暑い地域に住むヒトの腸内細菌の違いなどを検証し同様の傾向が得られるかどうか、また腸内細菌を調整することによって寒さに強い体になることができるかどうか、などが検証されることが期待されます。

Gut Microbiota Orchestrates Energy Homeostasis during Cold.を元に引用改変

さいごに

今回は、寒い時に腸内細菌がどのように変化し、体に影響するかについてまとめました。紹介した研究では、アッカーマンシア・ムシニフィラという腸内細菌が減ると体が温まるように調整されることが明らかにされていますが、他の腸内細菌も関わっている可能性もありそうです。どちらにしても腸内細菌が体温調節に関わっていることは確かなようなので、もしかしたら今後寒さに強い体作りのために腸内細菌を活用するようになるかもしれません。
気温変化と腸内細菌に関する研究がさらに進むことを期待したいです。

参考文献

1. Chevalier C, Stojanović O, Colin DJ et al. Gut Microbiota Orchestrates Energy Homeostasis during Cold. Cell. 2015 Dec 3;163(6):1360-74. doi: 10.1016/j.cell.2015.11.004.
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26638070)

2. 筑波大学大学院人間総合科学研究科
(http://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-med/biochem/gene/research3.html)

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