「トイレまで間に合わなかった!」っていう経験ありませんか?
なかなか話題になることもなく、人知れず悩んでしまうことが多い便失禁。
でも、もう悩む必要はありません! 便失禁のタイプ別に対処法があるんですよ。
意外と多い!? 大人の便失禁経験者
排便コントロールが未熟な子供の便失禁はよくありますが、大人でも便失禁をしたことがあるという人は、少なくありません。
下痢の際は、若い人でも漏らしてしまうことがありますし、加齢による筋力の低下で漏れる可能性もあります。
便失禁はその原因によっていくつかのタイプにわかれる
便失禁は、症状によって漏出性と切迫性の2つのタイプに大別できます。
漏出性便失禁
漏出性便失禁とは、便が出ることに気が付かずに漏らしてしまう状態で、下着の汚れなどを見て、初めて気づくタイプです。 便失禁を起こす人の50%くらいがこちらのタイプといわれています。切迫性便失禁
便意に気づいているけれど、止められずに漏らしてしまうタイプです。 便失禁を起こす人の10%以上がこのタイプといわれています。 たとえば、下痢などで急激な便意に襲われて、トイレまで我慢できずに漏らしてしまう状態です。混合性便失禁
漏出性便失禁と切迫性便失禁のどちらも起こしてしまうタイプです。 便失禁を起こす人の30%以上が混合性便失禁といわれています。 また、タイミングで分類すると、お腹に力を入れたときに漏れてしまう腹圧性と、便秘で腸内にたくさん溜まった便があふれて漏れてしまう溢流性があります。 では、なぜ、便失禁を起こしてしまうのでしょうか? その原因には、便が軟らかすぎるなど便の性状に原因がある場合と、肛門に原因がある場合があります。下痢
下痢で便性状が泥状であったり、水様性であるために、漏れやすくなります。便秘
慢性的な便秘によって、腸内に便がたくさん溜まって、あふれ出すことがあります。肛門括約筋の機能低下
肛門括約筋とは、肛門周囲にある肛門を締める筋肉です。 肛門括約筋には、意識に関係なく肛門を締める「内肛門括約筋」と意識することで肛門を締める「外肛門括約筋」の2種類があります。 これら肛門括約筋が、手術や出産の際に損傷したり、加齢などによる機能低下を起こすことで便失禁を起こします。 内肛門括約筋の損傷や機能低下は、漏出性便失禁を起こします。 また、便意を我慢するときに活躍する筋肉、外肛門括約筋の損傷や機能低下は、切迫性便失禁を起こします。神経伝達障害
脊髄の損傷や糖尿病などにより、神経伝達に障害が生じて、便失禁を起こします。知っておきたい タイプ別便失禁の対処法
それでは、便失禁のタイプ別の対処法を知っておきましょう。
便失禁を起こしてしまう原因には、いろいろありますが、やはり、大きな原因は肛門括約筋の機能低下です。
内肛門括約筋の機能低下が原因の漏出性便失禁の場合は、薬物療法で便の性状を整える薬などにより、便性状を固形にすることで、症状が改善してくることが多いようです。
切迫性便失禁の場合は、バイオフィードバック療法により、トレーニングで外肛門括約筋を鍛えます。
このトレーニングにより、外肛門括約筋を意識して締めることができるようになります。
バイオフィードバック療法とは、上手に締めることができているかをモニタリングしながら行う肛門を締めるトレーニングです。
さらに、最近では、排便をコントロールしている仙骨神経に電気刺激を与えて、排便機能を回復させる「仙骨神経刺激療法(SNM)」という新しい治療法もあります。
そして、便が水様、軟らかすぎて漏れる場合は、下痢を治すことが、便秘で溜まりすぎて漏れてしまう場合は、便秘を治すことが必要です。
下痢や便秘の改善には、生活習慣や腸内環境を整えることが大切です。
食生活では、食物繊維や、ヨーグルトなどの乳酸発酵食品を積極的に摂り、腸内の善玉菌を増やしましょう。
便失禁が多くなったと感じたら医師に相談しよう
生活習慣や食生活を改善しても、便失禁が多くなったと感じたら、恥ずかしがらずに医師に相談しましょう。
便失禁の対処法は、便失禁のタイプによって異なってきます。 医師の診察を受け、的確な対処法によって早期に悩みから解放されましょう。
まとめ
便失禁には、漏出性便失禁と切迫性便失禁、さらにその両方を起こす混合性便失禁があります。
便失禁の原因は、肛門括約筋の機能低下が大きな原因となります。
漏出性便失禁の場合は、意識に関係なく肛門を締める内肛門括約筋の機能低下が、また、切迫性便失禁は、意識して肛門を締める外肛門括約筋の機能低下で起こります。 内肛門括約筋の機能低下には、便性状を改善する薬による対処、外肛門括約筋の機能低下には、トレーニングにより鍛えるバイオフィードバック療法があります。
便失禁は一人で悩まず、専門外来を受診して、対処法を試みましょう。