最近、絶好腸だからウンログやめたんだよね。
そう話すのは、うんち栄養士・梅原しおりの高校時代の友人ハルカ。 彼女はバスケ部の部長をつとめ、いつも笑顔を絶やさないムードメーカー的存在であった。 ハルカは「ちょっとトイレ行ってくるわ!頻尿だからさぁ!」と明るく言い放ち、トイレによく駆け込んでいたのを覚えている。頻尿キャラを自らつくりあげていたのだ。 そんな彼女が、尿ではなく“うんち”に悩んでいたとは、当時考えもしなかった。 ウンログで排便を記録し始めて3年、うんちに悩まなくなったという理由で卒業したという。
慢性の便秘から過敏性腸症候群へ
梅原
便秘に悩み始めたのはいつ?ハルカはいつも明るいし、部活でバリバリ運動もしてるし、勝手に快便そうだな、と思ってた。
ハルカ
自分は便秘かな、と自覚し始めたのは高校生のとき。
「便秘なんですけど…」と内科に相談したら、漢方を処方されて飲み続けた。最初は効いた気がしたけど、便秘が解消されることはなかった。
そのときは、まだ深く便秘に悩んでなかったから、「まぁいいいか」って諦めてたの。
梅原
どういうタイプの便秘だったの?
ハルカ
ずっと、 コロコロうんちタイプ。
大学受験が本格的に始まった時期から、便秘に加えてよく下痢もするようになったの。授業中に急におなかが緩くなってトイレに駆け込んだりしてた。
次第に、大学入試本番でおなかが緩くなったらどうしよう、と悩むようになったの。いつ下痢に襲われるのか、という不安を常に抱えているし、それもあって勉強には集中できないし。便秘はうんちが出なくて苦しむけど、下痢の場合はどうしようもない。TPO関係なく、トイレに駆け込むしかない。
梅原
裏切られた感があるね。今まで出なかったのに、なんで急に出て来るんだ!って。
ハルカ
そう。第1志望の大学には落ちたけど、念願の薬学部には入ることができた。大学在学中も便秘は治らず、下痢も治らず。薬剤師国家試験が近づくにつれ、おなかの調子は日に日に悪化していったの。
大学受験のような同じ過ちは繰り返すまいと思い、病院にいってみたら 「過敏性腸症候群」だと診断されたんだ。薬を処方されたけど、おなかに悩む日々は続いてた。
結果、力を発揮しきれず、国家試験浪人に。そんな中、友人にウンログを教えてもらって、排便を記録するようになったの。
便秘を解消する方法、それは「自分を知ること」
梅原
記録をすることでわかったことは?
ハルカ
自分は便秘だと自覚はしていても、何日間出てないのかとかまでは把握できていなかった。自分は何をしたらうんちが出やすくなるのか、逆に何をしたら出にくくなるのか、自分について何も知らなかった。
ウンログで記録をすることで、自分を見つめ直すようになったの。
梅原
身体の声に耳を傾けるようになったんだね。
ハルカ
「××が便秘に効くよ!」と教えてもらったものは全て試したの。ヨーグルト、プルーン、便秘薬…。でもどれも私には効かなかった。(笑)
薬剤師さんに「僕はこれを使ったらスルスル出ました」と言われて買った便秘薬も、私が使ったら激しい腹痛がおきて下痢をした。他の人は合う方法も、自分に合うとは限らない。
梅原
ハルカは多分「けいれん性便秘」だったんだと思う。
このタイプの便秘は、細いうんち、コロコロうんちが出るのが特徴。
環境の変化とか、心配事とかで精神的ストレスを感じているとき、特に起こりやすいよ。
旅行にいったり、新しい職場になって環境が変わったりすると便秘になったり、ね。
ハルカ
それよくある!浪人時代、県外に引っ越したんだけど便秘がひどくなったし、研修合宿や旅行でもうんちが出なくなる。
梅原
ストレスを感じると、肛門に近いS字結腸と呼ばれるところの運動が強くなりすぎて、腸管が細くなるの。そうすると便が細くなったり、コロコロになったりする。
ハルカ
そういえば、いろいろチャレンジする中で「気にしないこと」が一番私のおなかにいいということにも気がついたの。
「便秘のために…しなきゃ」と考えていること自体がストレスになってた。腸に影響してたんだね。
梅原
おなかのためにとっていた行動がおなかを苦しめていたかもしれないね。
今の生活サイクルを教えて!
ハルカ
朝6時半に起きて、朝ごはんを少し食べる。そしたら、1時間半後くらいに便意がくるの。今日はうんちが出にくそうだな、と思ったときはコーヒーを少しだけ飲むと便意がやってくる。
過去に「朝ごはんをたくさん食べなきゃうんちが出ない」と聞いて、たくさん食べてたときもあったけど、これは私には逆効果だった。
梅原
ちゃんと起きる時間も決まっているんだね。私は以前夕方にうんちが出るタイプだったの。今思えば、起きて1時間後には家を出る生活でバタバタしてた。それを起床2時間後に家を出るようにしたら、朝うんちが出るようになったの。
朝出したい人は、早起きして朝の時間をゆっくり過ごすようにしたらいいかもしれないね。
心に余裕を。過敏性腸症候群でも大丈夫。
梅原
ところで、過敏性腸症候群はどう克服したの?
ハルカ
まず、自分を知ること。なぜおなかが緩くなるんだろう、と理由を考えてみるの。私の場合は、心に余裕がなかった。周りの目を常に気にしていたし、自分に自信がなくて…いっぱいいっぱい。
そういう自分も全部ひっくるめて、許して、認める。下痢をしてしまう自分を責めない。
梅原
確かに大学受験の時期、ハルカは毎日不安そうな顔をしてた。ハルカが大学に入ったあとも、勉強に追われてるように感じたよ。たくさん頑張ったんだね。
ハルカ
ありがとう。
下痢をしてしまうと、「私はなんてダメな人間なんだろう…」と自分を責めてしまうの。急にトイレに駆けこんでいたら、周りにどう思われてるんだろうとかも気になってたし。私は、うんちに悩む友だち同士で「人が来ないトイレ」を共有しあったりもしてたよ。同じ悩みを共有できるだけで、心強い。
梅原
人が並んでいるトイレは落ち着かないよね。私遅いと思われたかな?とか思っちゃう。
ハルカ
そうそう。でも実際は誰も気にしてないよね。
誰が、いつ、何回、トイレに行こうとも何も思わない。「今日ハルカちゃん、××回もトイレ行ってたでしょ!」って言われたこともないし。何回もトイレ行く人見かけたとしても、大丈夫かな?と心配するくらい。
「気持ち悪い」とか、悪く捉えられることはないと思う。
梅原
うん、誰も気にしてない。気にしてるのは自分だけだったりするよね。 高校時代、ハルカは頻尿キャラだったから、てっきり尿に悩んでるのかと思ってたけどね。ハルカが1日に何回トイレに駆け込もうと何も思わなかったよ。
ハルカ
なつかしい。
他人と自分を比べるのをやめたり、人の目を気にしなくなったら、心に余裕が出てきたの。そして、自分に自信が持てるようになった。そしたら、次第に過敏性腸症候群も改善されてきたんだ。
不安になったときは、「私のおなかは大丈夫!」と何度も言い聞かせておなかをさすってた。それから深呼吸をして、体内に酸素を送りこむと、不思議と心が落ち着くの。あと、過敏性腸症候群の薬をかわいいケースに入れてお守りのように持ち歩いてたよ。あっ、これは過敏性腸症候群の薬じゃないよ。今はもう薬も卒業してるの。
梅原
お守りを持っていたら安心感があるね。
ハルカ
ウンログで排便の記録をつけ始めて約3年。
私は記録をすることで、自分を知ることができた。
今では、何をしたら便秘になるのか、快便になるのか、とか自分の腸のことは全て把握してるよ。うんちで悩むことがなくなったから、ウンログは卒業しました。
それと、 うんちの悩みを相談できる人を作るのもいいと思う。悩んでるのは自分だけじゃないんだ、と知るだけで心が軽くなるから。とにかく、 不安やイライラを自分の中に溜め込まないこと。
そうは言っても、うんちの話は人に相談しにくいよね。
そんな 悩みを打ち明けやすい環境、それがウンログだと思う。
うんち栄養士 梅原しおり
小学生の頃、気持ちよくうんちをした記憶がないくらいの便秘体質で、毎日トイレに1時間以上こもっていた。結果、トイレ好きになった。現在は、楽しい食事とストレスフリーな生活で「いいうんち、いい人生」を歩んでいる。 そのほか、ダイエットメディアの監修やアスリートの栄養指導、スポーツ栄養のコラムを執筆。 【ブログはコチラ -> http://meshi-uma.com/】
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