今日も良いうんちが出たウンログくん。
キレイなオレンジ色したチョモランマうんちをトイレに流しながら、ふと、ある疑問が思い浮かびました。
僕のうんちはいったいどこへ行っているんだろう。ゴミと同じように燃やすのかな?
気になってしょうがないウンログくんはその謎を解き明かすべく、埼玉県の西浦和駅にやってきました。
見て!ボクと同じ色をしているよ!
やってきたのは「クリーンセンター西堀」。うんちやおしっこの処理過程を見学させてもらえるとのことで、ウンログくんもワクワクです。
早速職員さんに、し尿処理施設を案内してもらいました。
今日はよろしくお願いします。トイレに流したうんちやおしっこは、どうなるかを教えてください。
よろしくお願いします。うんちやおしっこの行方が気になったんですね。
トイレに流したうんちやおしっこの処理方法は、大きく分けて2種類あります。 ひとつは、バキューム車で集められ、し尿処理施設で処理される方法。もうひとつは、下水道を通って下水処理施設に運ばれ、処理される方法です。
そういえば、都心でバキューム車を見かけたことがないかも…?
住宅が密集している地域は下水道が発達しているので、そうかもしれませんね。 一方、市街地を離れると家と家との間に距離があるため、下水道を発達させるのは難しく、バキューム車での処理が一般的です。
バキューム車で集められる前は、各家庭に設置されている浄化槽や便槽と呼ばれるタンクに貯蔵されています。ここクリーンセンター西堀の処理範囲は、さいたま市内。バキューム車で集められたものを対象としています。
1日の処理能力はなんと147,000ℓ/日もあり、小学校の25mプールおおよそ1/2杯分に相当します。 ※長さ25m、横幅13m、深さ1〜1.2mの計算。
各家庭から出たうんちやおしっこはバキューム車によってし尿処理施設に運ばれ、トラックスケールというもので重さを計量したあと、受入室に入ります。この部屋に入るためには、2つの扉を突破しなければなりません。
写真では分かりにくいかもしれませんが、出入り口の扉は二重になっています。 1つめの扉が完全に閉まってから、2つめの扉が開く仕組みになっています。この写真は扉その②・出口側が半開き状態です。
それと、空気に圧力差がある場合、圧力が高い方から低い方へ空気が流れるのは知っていますか?この仕組みを利用し、受入室の気圧は外より少し低くしています。ですので、中の空気が外に漏れることはありません。
確かに、施設の外にいても臭いを感じませんでした。臭いを外に出さないような工夫がされていたのですね!
し尿は受入口(上写真:左)から投入され、砂や金属などのゴミを取り除きます。ライターや携帯電話、時計などがし尿と共に運ばれてくることもあるそうです。
ゴミを取り除いたら、「硝化脱窒素槽」と呼ばれるところに運ばれ、 微生物による生物脱臭が行われます。
うんちやおしっこには、鼻をつくイヤな臭いがありますよね。これは、アンモニアや腐りやすい有機物が含まれているからなのです。ここ硝化脱窒素槽では、2種類の微生物をつかって臭いのもとを分解しています。
この槽の上部は酸素が豊富に含まれており、一方下部には酸素があまりありません。上部では酸素が好きな微生物が、下部には酸素がない状態を好む微生物が、それぞれ働いてくれています。硝化脱窒素槽は、高さが地下1階〜地上2階まであり、非常に大きいんですよ。
ヒョエエ、そんなに大きいんですか! しかも、微生物が僕らのうんちを分解してくれているなんて…。
微生物がせっせと働いてると熱が発生し、処理槽が40℃を超える場合があります。高温下で微生物は死んでしまうので、冷却装置を用いて適温になるようにしています。装置に異常がないかなど、中央監視室で常にチェックしているんですよ。ウンログくんもやってみますか?
僕にはちょっと難しいから、職員さんの作業を近くで見学させてもらったよ! 微生物処理が終わると、くすりを用いて化学的に凝集処理され、「砂ろ過塔」と呼ばれる処理槽に送られます。砂に通すことにより、細かい浮遊物が取りのぞかれます。かなり透明になりましたが、まだ少し色素が残っていますよね。
次に「活性炭吸着塔」と呼ばれる処理槽で色素を取りのぞき、最後に消毒液を用いて大腸菌などの菌を殺菌します。
うんちやおしっこの終着点は、「水」。そして、川へ放流されます。水質は常に厳しくチェックされており、衛生的で安全な高度処理水なので心配ご無用。水道水と比べると分かりやすいですが、色もついておらず、臭いもありません。
また、処理の過程で取り除かれたゴミや汚れはさいたま市のごみ焼却施設に運ばれ、焼却されます。
※さいたま市のごみ焼却施設とクリーンセンター西堀は隣接しています。 以上が、うんちやおしっこの処理方法です。
し尿を発酵させ、肥料にするし尿処理施設もあるんですよ。びっくりするかもしれませんが、昔は各家庭で出たうんちやおしっこを発酵させ、肥料にしていたんです。その肥料を畑にまき、自分たちが食べる野菜を育てたり…とうまく循環させていたのです。
ヒョエエ〜!!想像できない! この見学を通し、僕たちが快適にうんちできているのは、24時間365日処理してくださっている方々がいるからだと気がつきました。いつもありがとうございます。
こちらこそ、ありがとうございます。ウンログくんの疑問がスッキリ解決できたようで良かったです。
うんちやおしっこの処理方法を理解したうんちくん(仮)でした。
うんち栄養士 梅原しおり
小学生の頃、気持ちよくうんちをした記憶がないくらいの便秘体質で、毎日トイレに1時間以上こもっていた。結果、トイレ好きになった。現在は、楽しい食事とストレスフリーな生活で「いいうんち、いい人生」を歩んでいる。 そのほか、ダイエットメディアの監修やアスリートの栄養指導、スポーツ栄養のコラムを執筆。