腸活がブームとなり、腸内フローラ(腸内細菌叢)や乳酸菌という言葉をよく耳にするようになりました。
なんとなく「乳酸菌は腸にいい」と知ってはいるものの、その効果を体感している人は決して多くはありません。その理由は、何なのでしょうか。
この記事では、東京医科歯科大学大学院名誉教授・藤田紘一郎氏による講義「乳酸菌生活について」をレポートしています。
登壇者プロフィール
うんち栄養士
ナビゲーターはうんち栄養士・梅原が務めます!
腸内細菌の組成は生後1年以内に決まる
みなさんは、“腸内細菌の重さ”をご存知でしょうか。
細菌ときくと微々たるものに感じますが、実はみなさんの体重の1〜2kgは腸内細菌が占めています。
同じ顔をした人間が存在しないのと同様に、腸内細菌叢(腸内フローラ)も人それぞれ異なり、どんな腸内細菌がどのくらいいるのかはその人次第です。
藤田教授:
『腸内環境の組成は、だいたい生後1年以内に決まるといわれています。つまり、”変わることのない指紋”のようなものですね。
幼い頃、どのような菌に接してきたかによって、腸内細菌の組成は決まるのです。』
腸内細菌を整えるポイントは2つ
今から腸内細菌の”組成”を変えようというのは無理難題。
うんち栄養士
腸内細菌の”組成”を変えるのは厳しいけど…腸内環境の”バランス”を変えることは今からでも決して難しくないんだって!
腸内細菌の組成は人それぞれですが、共通していることは善玉菌が増えれば健康維持・増進に働き、悪玉菌が増えれば病気の引き金になること。
では、善玉菌を効果的に増やすポイントは何なのでしょうか。
藤田教授:
『腸内環境を整えるポイントは2つあります。
①善玉菌のエサをとること
(=プレバイオティクス)
②善玉菌そのものをとること
(=プロバイオティクス)
これらは腸内環境を整えるのに効果的ですが、摂取をやめたら1週間ほどで元に戻ってしまう人もいます。そのため、習慣的に摂取する必要があります。』
善玉菌のエサ(=プレバイオティクス)はオリゴ糖や食物繊維、善玉菌が含まれているもの(=プロバイオティクス)は、発酵食品や乳酸菌飲料などがあります。
とはいえ、プレバイオティクス、プロバイオティクスの両方を摂取することは、なかなか難易度が高そうですよね。
でも、それほど苦労せずにも両方を摂取できる方法があるんです!例えば、食生活を改善すること。では具体的に、どのような食生活をおくるべきなのでしょうか。
うんち栄養士
キーワードは、「和食」だよ!
意外と知らない?日本料理は乳酸菌が豊富
乳酸菌といえばヨーグルト、というイメージが強いかもしれません。でも実は、日本の伝統的な食事にも、乳酸菌などの善玉菌が豊富に含まれているのです。
そして、和食にはワカメやゴボウなど食物繊維が多い食材が使用されているので、“腸内細菌のエサ”もとることができます。
つまり、和食はプレバイオティクス、プロバイオティクスの両方を摂取しやすいので“腸”優秀なのです。
2週間で腸内環境が変わる?
藤田教授:
『しょう油や味噌、納豆など…日本の食卓には発酵食品が多いですよね。これらには、乳酸菌・酵母菌・麹菌など日本人が古くから腸の中で育ててきた細菌の仲間が含まれています。』
藤田教授:
『発酵食品の持続的な摂取は、善玉菌・日和見菌が増えやすく、腸内環境を整える効果が期待できます。なお、腸内環境のバランスは、2週間ほどで変えることができます。』
最強の腸活レシピ!酢キャベツ
和食がいいのは理解できたものの、レシピに悩んでしまうもの…。
そこで、藤田教授に自宅で簡単にできる“腸”うれしいレシピをご紹介してもらいました。
じゃーん!その名も「酢キャベツ」。
食事だけでなく、酒のつまみとしても“腸”相性がよく、さらにヨーグルトや味噌汁にも加えることができるのでアレンジ豊富です。
うんち栄養士
しんなりしているから、生キャベツよりたくさん食べることができるよ。常備食としても“腸”優秀〜!
藤田教授:
『発酵食品であるお酢には、悪玉菌の過剰繁殖を防ぐ効果が期待できます。
食物繊維が豊富なキャベツとお酢は最強コンビ。
毎回の食事に『酢キャベツ』を追加してみてください。
まずは2週間ほどお試しあれ!』
家庭で簡単♪酢キャベツレシピ
材料(作りやすい分量)
キャベツ 大1/2玉
塩 小さじ2
酢 200ml
マスタード 小さじ2
作り方
①キャベツは葉をはがして洗い、水気をよくきり、細切りにする。
②保存袋にキャベツを入れ、塩を加えてバッグの口を閉じる。
③キャベツがしんなりするまで、軽くもむ。
④キャベツがしんなりしたところで、バッグの口を開け、酢とマスタードを注ぐ。
⑤再び口を閉じれば完成。半日ほど漬け込めば食べごろ。
まとめ
腸活を成功させるためのポイントは2つ。
①善玉菌のエサをとること(=プレバイオティクス)
②善玉菌そのものをとること(=プロバイオティクス)
また、もっとも重要なのは継続することです。
何を食べようか迷ったら、①②が豊富な和食を選択すれば“腸”うれしいですね。
あなたも腸内細菌のバランスを変えてみませんか?
うんち栄養士 梅原しおり
小学生の頃、気持ちよくうんちをした記憶がないくらいの便秘体質で、毎日トイレに1時間以上こもっていた。結果、トイレ好きになった。現在は、楽しい食事とストレスフリーな生活で「いいうんち、いい人生」を歩んでいる。 そのほか、ダイエットメディアの監修やアスリートの栄養指導、スポーツ栄養のコラムを執筆。 【ブログはコチラ -> http://meshi-uma.com/】
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