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肥満の原因はデブ菌のせい!?でも食事の仕方も大切

腸内細菌が糖尿病や肥満に関連するという研究報告が、近年次々に出てきています。肥満の方に特徴的な腸内細菌も特定され、言葉は悪いですがデブ菌とよばれたりすることもあります。今回は、肥満と腸内細菌に関する研究を紹介します。

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肥満の人の便を移植したら肥満になった

アメリカの研究チームは再発性の偽膜性腸炎(ぎまくせいちょうえん)という病気に対し、健康な人の糞便を移植する治療を行ったところ、肥満の人の便を移植された人が肥満になり、努力もむなしく太ったままになったことを2015年2月に「Open Forum Infectious Diseases 」誌に発表しました。 偽膜性腸炎とは、抗生剤の使用で腸内細菌のバランスが崩れ頻回の下痢を起こす病気で、再発を繰り返す場合には命に関わるといわれています。クロストリジウム・ディフィシルという菌が原因であることがわかっています。糞便移植とは、健康な人の腸内細菌を病気の人の腸内に注入して丸ごと入れ替えて治してしまおうとする治療法です。日本ではまだ保険適用になっていませんが、欧米では行われている治療法です。 今回の患者の女性は、自分の娘から糞便移植を受けました。娘は肥満であること以外は健康であったため、糞便移植のドナー(提供者)として認められました。偽膜性腸炎は、糞便移植によって完治したそうです。しかし、糞便移植16か月後に、女性の体重は約77kgと急速に15kg増え、BMIが33まで増加してしまいました。ちなみに、治療前は約62kgでBMI26でした。そして、食事や運動など減量のために努力したものの体形は変わらず、肥満となってしまったそうです。
この症例の報告を受け、糞便移植のドナーは肥満者を除外すべきとされています。

肥満の人の腸内細菌をマウスに移植すると肥満マウスになった

最初に紹介した論文によると、肥満の人の腸内細菌を移植された人が肥満になったということですが、果たして本当に肥満の人の腸内細菌が原因だったのでしょうか。もしかすると腸の病気が改善したことによって食事量が増え、肥満になった可能性も否定できません。しかし、すでに肥満の人の腸内細菌をマウスに移植する研究が行われており、同じ現象が起こったことが確認されています。 アメリカの研究チームは、肥満の人から腸内細菌を移植した無菌マウスが肥満になったことを2013年9月に「Science」誌に報告しました。肥満の人から腸内細菌を移植したマウスのグループと痩せた人から腸内細菌を移植したマウスのグループに分け、標準的なエサを食べさせて、体重増加量や脂肪の蓄積量を比較しました。すると、肥満の人から腸内細菌を移植したマウスは、痩せた人から腸内細菌を移植したマウスに比べて体重増加量も脂肪の蓄積量も多かったそうです。 今回の研究にはもう1つ興味深い点があります。肥満の人から腸内細菌を移植されて肥満になったマウスに、食物繊維が多く飽和脂肪酸の少ない健康的な食事をさせたところ体重が減少しました。腸内細菌のせいで肥満になりやすくなったとしても、健康的な食事によって腸内環境が良くなる可能性が示されました。

1日中食べ続けると腸内をデブ菌が支配してしまう

では、肥満の人の腸内細菌はどうなっているのでしょうか。マウスを用いた研究で、肥満に特徴的な腸内細菌の存在が明らかになっています。 アメリカの研究チームは、食事と空腹のサイクルと腸内細菌の関連について調べ、1日中ずっと高脂肪食を食べたマウスは肥満につながる腸内細菌「ファーミキューテス」が多くなり、体重増加だけでなく、血糖値やコレステロール値の上昇を引き起こすことを2014年12月に「Cell Metabolism」誌に報告しました。 研究チームはマウスを3グループに分け、通常のエサを食べさせるグループ、高脂肪食を1日中食べさせるグループ、高脂肪食を活動性の高い夜だけ食べさせるグループとしました。4時間ごとに腸内細菌の内訳を調べました。 1日中高脂肪食を食べているグループの腸内細菌は、肥満に関連する「ファーミキューテス」によって支配されていることが明らかになりました。一方で、通常のエサを摂っていたグループは複数の腸内細菌が混ざり合うようにして存在しており、肥満に関連する「ファーミキューテス」が優位ではありませんでした。夜間だけ高脂肪食を摂らせていたグループは、通常のエサのグループに比べると腸内細菌のバランスは崩れているものの「ファーミキューテス」が優位にはなっていませんでした。 ヒトの腸内細菌は、「バクテロイデス」と「ファーミキューテス」が多く、健常な場合はその他の多くの細菌と共に良いバランスを保っているといわれています。腸内細菌は食べ物を分解する時に、さまざまな物質を排出することが知られています。バクテロイデスが食べ物を分解されて短鎖脂肪酸が排出されると脂肪細胞に働きかけ、脂肪の取り込みが止まり肥満を防ぐことがわかっています。一方で、今回の研究で肥満マウスの腸内に増えていたファーミキューテスは食事から取り込むエネルギー量が多いため、肥満に結びつきやすいといわれています。
Zarrinpar A ; Chaix A ; Yooseph S et al. Diet and feeding pattern affect the diurnal dynamics of the gut microbiome より引用改変
今回の研究から、1日中食べ続けると肥満の原因となる腸内細菌「ファーミキューテス」が腸を支配し、肥満になることがわかりました。肥満には腸内細菌だけでなく、食べ方も重要ということです。

さいごに

今回は肥満と腸内細菌に関連する論文を3つ紹介しました。どうやら肥満の人の腸内には、「ファーミキューテス」とよばれる肥満に関連する腸内細菌が多いということがわかりました。また、食事の内容や食べ方によって腸内細菌は変わる可能性があることも明らかになりました。つまり、肥満だからといってあきらめずにバランスのよい食事を1日3回定期的に摂れば腸内細菌のバランスを改善し、肥満を解消できるかもしれないということです。
 

参考文献

1) Alang N; Kelly CR. Weight gain after fecal microbiota transplantation.Open Forum Infect Dis. 2015 Feb 4;2(1):ofv004. doi: 10.1093/ofid/ofv004. eCollection 2015.

(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26034755)

2) Ridaura VK; Faith JJ; Rey FE et al. Gut microbiota from twins discordant for obesity modulate metabolism in mice. Science. 2013 Sep 6;341(6150):1241214. doi: 10.1126/science.1241214.

(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24009397)

3)Zarrinpar A ; Chaix A ; Yooseph S et al. Diet and feeding pattern affect the diurnal dynamics of the gut microbiome. Cell Metab. 2014 Dec 2;20(6):1006-17. doi: 10.1016/j.cmet.2014.11.008.

(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25470548)

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