アロマで癒されながら腸活したい。便秘や下痢に有効な精油とは?

海外では治療の一環として使われているアロマテラピー。アロマテラピーで使う精油のなかには、便秘や下痢、腸活に有効なものもあります。今回お話をうかがったのは、鍼灸師・メディカルアロマセラピストの菅野かおり先生。アロマテラピーのパイオニアとして、東京・渋谷を拠点に多岐にわたりご活躍されています。菅野先生にはアロマテラピーの基本や、腸活や便秘、下痢におすすめの精油を教えていただきました。

アロマテラピーの効果と2つの使い方

アロマテラピーとは、フランス語のアロマ(芳香)とテラピー(療法)を合わせた造語。植物のエキスを抽出した精油を使った自然療法の一つです。

使い方は大きく分けて2つ。精油の「香りを嗅ぐ」ことと、精油を薄めて「皮膚に塗る」ことです。

精油の「香りを嗅ぐ」

香りを嗅ぐと鼻粘膜にある嗅細胞を経て、原始的な脳といわれる大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)に直接伝わります。

この脳は人間の本能的な欲求や感情や記憶と強く結びついているのだとか。自分の直観を信じ、そのときどきで”一番心地よい”と感じた香りを選ぶのがポイントです。

(菅野かおり著書 アロマテラピー外来が教える「メディカルアロマ&ハーブのセルフケア事典」をもとに引用改変)

精油を薄めて「皮膚に塗る」

精油の原液は刺激が強いため直接肌に塗ることはできませんが、希釈した精油を肌に塗ったり、精油を入れたお湯に体や手足を浸けたりして、皮膚から芳香成分を吸収させます。

すると、芳香成分が皮膚の真皮にある毛細血管やリンパ管に入り、血液やリンパにのって各器官に作用します。精油の芳香成分は小さな分子構造なので、皮脂膜や角質層などのバリアゾーンを越えて真皮まで届きます。

アロマオイルと精油(エッセンシャルオイル)の違い

「精油(エッセンシャルオイル)」と「アロマオイル」は同じだと思っている人が多いので、まずは言葉の整理をしておきましょう。

「精油(エッセンシャルオイル)」は、植物から抽出した100%天然成分です。原液では使用せず、希釈して肌に塗ったり芳香拡散器に数滴たらしたりして使用します。

一方「アロマオイル」は、直接肌に塗れるように精油をあらかじめ薄めたものや、芳香目的で香りが長続きするように合成香料が入ったものも含まれます。アロマテラピーには「精油(エッセンシャルオイル)」と表示されたものを使ってください。

腸活におすすめの精油

腸活に一番おすすめなのは「ミント系精油」です。古くからミント系の精油は、お通じが滞っているときやガスがたまりやすいとき、腸の動きが過敏なときなど、消化器系が不調なときに使用されてきました。

ミント系精油の種類
・ペパーミント
・スペアミント
・ハッカ(薄荷)※ジャパニーズミントとも呼ばれるミント品種の一つ

この3つのミント系精油ならどれを使用して構いません。ちなみに、スッとする香りのミント系精油は、嗅ぐだけで腸の動きが正常化するという報告もあります。

腸活アロマテラピーで使う精油とボディオイルの作り方

ミント系精油を使って腸活アロマテラピーをおこなう方法には、下記の2つがあります。

ミント系精油での腸活方法
1. ボディオイルを作って全身に塗る
2. 芳香拡散器などで香りを嗅ぐ

便秘や下痢の状態や環境に合わせたり、お好みの方法でお試しください。

1. ボディオイルを塗る腸活方法

肌に塗るボディオイルは、香りによる脳への刺激と、皮膚からの成分吸収が一緒にできる効率的な方法です。お腹や腰まわりだけでなく、香りを十分感じるように首肩など全身に塗りましょう。血行がよくなっているお風呂上がりに塗るのがおすすめです。

準備するもの (1回分)
・小さいガラスの容器
・精油 0.5ml(1滴)
・植物油 5ml(小さじ1杯)
※植物油は食用ではなくトリートメント用と表示されているものを選びましょう。
(椿油・オリーブ油・ホホバ油・アーモンド油など)

作り方
ガラス容器に植物油と精油を加えて、よく混ぜればできあがり。

⚠︎注意
精油の濃度が高いと肌トラブルを起こす可能性があるので、使用量は必ず守ってください。また、アレルギーのある方や肌が敏感な方は、事前にパッチテストをおこなってください。

2. 香りを嗅ぐ腸活方法

精油の香りはリラックスやリフレッシュだけでなく、自律神経の中枢である脳に働きかけ、消化器系の動きを正常化させる働きがあります。お部屋に香りを広げたり、香りを鼻から吸入したりする方法がおすすめです。

お部屋に香りを広げるときに準備するもの
・芳香拡散器(アロマポット・ディフューザー・アロマライトなど)
器具の使い方を確認して精油はお部屋の広さにあわせて1~5滴使用します。

鼻から香りを吸入するときに準備するもの
・ティッシュ1枚
ティッシュに精油を1~2滴たらし、肌につかないように折りたたみ、鼻から香りを2~3分吸い込みます。

まとめ

便秘や下痢の原因は人それぞれ。今回菅野先生がお話してくれたように、腸の働きだけではなく、ストレスなども影響します。アロマテラピーは心にも作用するので、腸活のよいサポート役になるはず。便秘や下痢が気になっているなら、今回ご紹介した精油でアロマテラピーを一度お試しください。

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