【参加募集中】麹だけでつくったあまさけ2週間チャレンジ

腸内細菌が体型にも影響!?痩せ型の人に多い「痩せ菌」とは?

Maridav / Shutterstock.com

腸内フローラは一人ひとり違う

liza54500 / Shutterstock.com
脳からの指示がなくても自ら動き、脳に次ぐ豊富な神経細胞をもつ腸は、近年の研究から心と体の健康にさまざまな役割を果たしていることがわかってきました。 そして、近年、「痩せ」や「太り」といった体質に影響する腸内細菌の存在が判明するなど、腸はますます目の離せない研究分野となっているのです。 皆さんは、人一倍ダイエットに励んでいるのに痩せられないとか、あの人は好きなだけ食べているのに痩せているから羨ましいとか思われた経験はありませんか? いわゆる「痩せ体質」や「太りやすい体質」ですが、痩せ体質になりたいって思うこともありますよね。この体質に腸内細菌が影響しているとしたらとても気になります。 実は、腸内フローラ(腸内細菌叢)は一人ひとりの指紋が違うように同じではありません。 そもそも腸内細菌は、人が生まれる前、つまり母親の体内にいる頃は存在していません。 この世に生まれるときに母親の持つさまざまな細菌に感染することで、腸内フローラの基礎が形成され、その後、授乳や離乳食から始まる食生活で腸内環境が整えられていきます。

腸内フローラが痩せや肥満に影響していた!

chombosan / Shutterstock.com
肥満の要因は食べ過ぎや運動不足、不規則な生活など環境によるものと考えられてきました。 しかし、2006年、微生物学者であり、腸内細菌と肥満の研究で著名なワシントン大学のジェフリー・ゴードン博士のある研究結果が科学雑誌「Nature」で報告されると、腸内細菌研究者の間で大きな話題となりました。 その発表とは、腸内フローラ(腸内細菌叢)が肥満に関係するということです。 私たちの腸内フローラは多種多様な細菌により形成されており、その種類は約300種、数にして約100兆個といわれていますが、大きく「ファーミキューテス門」、「バクテロイデス門」、「アクチノバクテリア門」、「プロテオバクテリア門」、「フソバクテリウム門」の5つに分類することができます。 ジェフリー・ゴードン博士は、太っているマウスと痩せているマウスの腸内フローラを調べ、肥満のマウスにはファーミキューテス門の細菌が、痩せているマウスにはバクテロイデス門の細菌が多いことを解析しました。 そして、この解析結果は人の場合でも同じでした。 ちなみに、ファーミキューテス門の細菌は体内に栄養素やエネルギーを溜め込む性質があるため、今では俗に「肥満菌」などと呼ばれています。 そして、バクテロイデス門の細菌は、血中の脂肪が脂肪細胞に吸収されることを抑え、逆に筋肉に取り込ませ燃焼を促す効果があり、「痩せ菌」などと呼ばれています。 そして、2013年には、先のゴードン博士の発表を踏まえ、ワシントン大学のヴァネッサ・リドーラ博士らにより、太った人の腸内細菌を移植すると肥満も移る可能性についてサイエンス誌で報告されました。 博士らは片方が太っていて、もう片方が痩せている双子の中から、食生活などの環境が同じで、遺伝子構造の似ている組み合わせを探しだし、それぞれの腸内細菌を採取。 そして、それぞれの腸内細菌を無菌マウスに移植し、同じエサを与えたところ、太った人の腸内細菌を移植した無菌マウスに体重増加と脂肪の蓄積が見られたそうです。 それはつまり、腸内細菌が痩せや肥満を左右していることが示唆されたのです。

日和見菌を制して腸内環境を整えよう、善玉菌優位の腸内環境づくり

腸内フローラは体に良い影響を与える「善玉菌」と、逆に悪い影響を及ぼす「悪玉菌」、そのどちらでもなく、優位となった方に加わる「日和見菌」で構成されていますが、肥満菌と痩せ菌は日和見菌に分類されます。 日和見菌は腸内細菌解析によると、善玉菌優勢時には何もしませんが、悪玉菌が優位に立つや否やその味方をして活発に働いてしまいます。 日和見菌は腸内フローラの構成において約7割を占めていますので、善玉菌優位に腸内環境を整え、肥満菌が活動をしにくい環境を整えることが何より大切といえるのです。

痩せ菌を増やすカギは食物繊維と発酵食品にあり

karins / Shutterstock.com
腸内環境を善玉菌優位にし、肥満菌の活動を阻害することも重要ですが、痩せ菌を増やすことも肥満防止にとって必要なこといえます。 では、具体的に痩せ菌を増やすにはどうしたら良いのでしょう? そのカギは食物繊維発酵食品にあります。 海藻類やきのこ類に含まれる食物繊維や納豆やみそ、チーズなどの発酵食品に含まれる納豆菌、こうじ菌、乳酸菌などには肥満菌を減らし、痩せ菌を増やす効果が確認されています。 これらを積極的に摂取することで、腸内フローラを整え、痩せやすい体質に変えていくことができるのです。 ただし、いつものことですが食べ過ぎには注意が必要ですよ。

まとめ

いかがでしたか? 腸内フローラは親からの遺伝や離乳後の食生活により基礎が構成されるといわれています。 しかし、たとえ生まれた時に悪玉菌の多い環境だったとしても、その後の腸活次第で整えることは十分可能といえるのです。 人一倍ダイエットに励んでいるけど痩せられない、健康維持のために痩せ体質になりたいとお悩みの方は、一度腸内環境の改善を検討されることをおすすめします。

参考文献

Vanessa K. Ridaura, Jeremiah J. Faith, Federico E. Rey, et al. : Gut Microbiota from Twins Discordant for Obesity Modulate Metabolism in Mice. Science:341.(最終アクセス:2016年5月31日)
Peter J. Turnbaugh , Ruth E. Ley , Michael A. Mahowald , Vincent Magrini , Elaine R. Mardis & Jeffrey I. Gordon : An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest. Nature, 444, 1027–131, 2006.

この著者の他の記事を読む