腸内環境を整えると花粉症が軽減する!?専門家にその理由を聞いてみた

春になると日本中で猛威を振るう花粉。2月下旬あたりからスギ花粉の飛散がはじまり、ヒノキ、ブタクサと1年中花粉症に悩まされる方も年々増えています。アレルギー症状の一種である花粉症ですが、大きな原因の一つに腸内環境が関係しているようです。そこで東京医科歯科大学名誉教授 藤田鉱一郎先生に、その真相についてお聞きしました。

腸内環境と花粉症の関係

腸内環境と花粉症にはどのような関係があるのでしょうか。花粉症の治療と言えば日本では服薬が中心なので、なかなか腸内環境とは結びつかないもの。まずは2つの関係について、藤田先生に聞いてみましょう。

花粉症に腸活はとっても効果的

花粉症の症状を和らげるのに、腸内環境を整える腸活は非常に効果的です。

腸活によって腸内の善玉菌を増やし、腸の運動をスムーズにすることで免疫力が上がります。花粉症も免疫反応の一種で、今までは免疫が高い状態だと起こると言われてきました。それが最近の研究では真逆であることが分かって、免疫が低い状態だったり、バランスが崩れると起こると言われています。

2つの免疫細胞を高められる腸活

腸内には大きく分けて2つの免疫細胞があります。TH1とTH2と呼ばれる2つの免疫細胞は、TH1はガン細胞を、TH2はアレルギーを抑制してくれる役割があります。どちらか一方だけを高めることは、ガンのリスクやアレルギー症状の悪化を引き起こすことがあるため、両方のバランスを取ることも大切だという研究結果が出ています。どちらも高めることが大切ですが、それができるのは腸活だけなんです。

乳酸菌と花粉症について

春になるとよく耳にする「花粉症にはヨーグルト」というフレーズ。藤田先生によると、ヨーグルトに含まれている乳酸菌が関係しているそう。なぜ乳酸菌が効果的なのでしょうか。

善玉菌を増やすことができる乳酸菌

花粉症の症状がひどいときは、腸内環境が悪い状態なんです。悪玉菌が優位になって腸内細菌が減少していると、症状がひどくなります。花粉症を少しでも和らげたいなら、善玉菌を優位にして、日和見菌を強くしましょう。また、活性酸素を消すことも大切。そのためには、適度な運動をしたり、乳酸菌やビフィズス菌をお腹に入れて増やすことを意識するといいですよ。

あとは善玉菌のエサをたくさん取ることも重要です。食物繊維を中心とした食生活にして、色のついた緑黄色野菜を意識して食べてみてください。緑黄色野菜には活性酸素を除去して、免疫をあげる効果があります。食物繊維や緑黄色野菜が中心の食生活をすると、腸が活発になって日和見菌が増え、TH1とTH2も強くなる。すると花粉症をはじめ、喘息やアトピー、食物アレルギーなど全てのアレルギー症状が和らいでいきますよ。

乳酸菌を取り入れる方法

乳酸菌が含まれている代表的な食べ物と言えばヨーグルト。現在様々なメーカーから販売されているヨーグルトですが、商品によって使われている乳酸菌は異なります。どうやらヨーグルトにはその人の腸内細菌に合うものと合わないものがあるようです。

乳酸菌は自分の腸内細菌に合うものを選ぶ

食生活にヨーグルトなどの乳酸菌をたくさん取り入れましょう。ヨーグルトを選ぶときに一つ覚えておいて欲しいのが、人によって合う菌が異なるということ。自分が食べてみて体調がよくなったヨーグルトや乳酸菌を人に薦めても、効果がないことがほとんどです。

自分に合う乳酸菌かどうかは2週間ほどで分かります。同じヨーグルトを2週間毎日食べ続けて、便通や肌がきれいになったら合う乳酸菌。合わない乳酸菌だと、一時的に下痢をしたり体調不良を起こしたりしてしまうので、すぐに分かりますね。ただ、合わない乳酸菌でも腸内環境にとっては決して無駄にはなりません。定着はしませんが、善玉菌のエサになり腸内環境を整える手助けをしてくれます。

乳酸菌について詳しく知りたい方は「日本人には日本人の乳酸菌?腸活を成功させるポイント2つ」をご参照ください。

人の腸内細菌は生後1歳半で決まるもの。京都出身の母に育てられた私の腸内細菌には、京漬物の乳酸菌が入っています。子供の頃自分が食べていたヨーグルトや漬物を思い出してみたり、毎日抱っこして育ててくれたご両親がどんな乳酸菌を取っていたのか聞いてみるのもよいでしょう。

まとめ

ほんの少し前までは一生治らないものと言われてきた花粉症。藤田先生によると現在は真逆の研究結果が出ているそうなので、長年花粉症で苦しんできた方にとって朗報ですね。アレルギー症状を和らげて完治させるには欠かせない腸活。現在花粉症と戦っている方は、試しに腸活をはじめてみてください。

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