腸活系商品やサービス、腸活につながる研究などをおこなう企業におうかがいし、担当の方にインタビューするこの企画。
第6回となる今回訪ねたのは、株式会社明治のマーケティング本部で明治ブルガリアヨーグルトを担当する発酵乳マーケティング部の田中陽さん、広報部の関根由梨さんです。
おふたりに、明治ブルガリアヨーグルトの開発秘話や、商品の魅力、発売から40年以上に渡り受け継がれてきた想いについてうかがいました!
「明治ブルガリアヨーグルト」の名前に隠された“誕生秘話”
田口:
今日はよろしくお願いします。
さっそくですが、明治ブルガリアヨーグルトが誕生した経緯について教えていただけますか?
田中さん:
きっかけは、1970年に開催された大阪万博でした。そこで明治の社員が本場ブルガリアのヨーグルトを試食し、衝撃を受けたんです。
というのも、当時はヨーグルトといえば砂糖などを加えて甘みをつけたヨーグルトが主流。甘くない「プレーンヨーグルト」は存在していませんでした。
これを機に「本場の味」を再現しようと本格的な商品開発がスタートし、1971年に日本初の「明治プレーンヨーグルト」が発売されたんです。
田口:
発売当初は、「明治ブルガリアヨーグルト」ではなく「明治プレーンヨーグルト」という商品名だったんですね。
田中さん:
はい。当初から「明治ブルガリアヨーグルト」というネーミングは考えていたものの、ブルガリア国に国名使用を断られてしまい、この商品名での発売となりました。
それでも「本物のブルガリアヨーグルトを日本の食卓に伝えて広めるためにも、名前を使わせてほしい」とめげずに1年以上かけて交渉を続けました。その結果、国名の使用許可を得て、1973年に「明治ブルガリアヨーグルト」に名称変更することができたんです。
田口:
今ではおなじみの商品名に、そんな誕生秘話があったとは……!
田中さん:
このネーミングの交渉は、甘くないプレーンヨーグルトの開発以上に苦労したと聞いています。
もしここで「明治ブルガリアヨーグルト」という名前をつけられていなければ、ヨーグルトは今ほど日本に定着しなかったかもしれません。そういった意味でも、この功績は非常に大きいと感じています。
田口:
発売当時、初めてプレーンヨーグルトを口にした生活者の方は、どんな反応だったんですか?
関根さん:
発売当初は、甘くないプレーンヨーグルトの味が全く受け入れられず、非常に苦戦しました。
当時は今よりも酸味が立っていたこともあり、「なんでこんなに酸っぱいんだ」とクレームに近い意見もあったと聞いています。
田口:
今となっては当たり前のプレーンヨーグルトですが、文化として日本に根づくまでには、かなりの苦労があったんですね……。
関根さん:
そうですね。そこで諦めずに改良、販売を続けていったからこそ、今のプレーンヨーグルトという商品、文化が残っているのだと思います。
健康志向なだけじゃない!毎日食べたくなる美味しさの秘密とは?
改めて「明治ブルガリアヨーグルト」の特徴について教えていただけますか?
田中さん:
プレーンヨーグルトは原料がシンプルで差別化が難しいからこそ、「乳酸菌」と「発酵方法」の2つの特徴にこだわっています。
まず1つ目のポイントは、LB81乳酸菌の使用。これによっておなかの調子を整える効果が期待できるほか、プレーンヨーグルトらしい爽やかな風味を楽しめます。
田口:
LB81乳酸菌が使われることになったのには、何か決め手があったんですか?
田中さん: 整腸作用といった「健康価値」と「美味しさ」という2つの面を考慮して選び抜かれたのが、今のLB81乳酸菌です。
実は、美味しさと健康価値のバランスが取れた乳酸菌を見つけるのは至難の技。乳酸菌の種類が少しでも違えば、整腸作用だけでなく、まろやかさや酸味といった風味が全く変わってしまうんです。
だからこそ、乳酸菌の研究を続けるとともに何万もの乳酸菌の組み合わせを試して、商品の見直し・改良をおこなっています。
田中さん:
2つ目のポイントは、当社独自の「まろやか丹念発酵」。酸素濃度を下げた状態で発酵させることで、まろやかな風味となめらかな食感のヨーグルトを実現しています。
田口:
発酵方法によって、味わいも変わってくるんですか?
田中さん:
そうなんです。ヨーグルトの柔らかさや口溶けは、発酵温度や発酵時間によって変わってくるので、発酵条件についても日々研究を重ねています。
関根さん:
シンプルな商品なのであまり工夫がないように見えるかもしれませんが、毎日美味しく食べていただけるようにと、実はすごく細かいところまでこだわっているんです。
こういったところが、40年以上に渡って愛されてきた秘訣なのかなと思いますね。
田口:
なるほど。ちなみに近年では、プレーンヨーグルトに限らず、さまざまな商品ラインナップを展開されていますよね。
田中さん:
そうですね。例えば、生乳由来の乳素材だけで仕上げた「液状タイプ」のプレーンヨーグルトや、カルシウムと鉄分を配合した『明治ブルガリアヨーグルトLB81カルシウムと鉄分』などがあります。
田口:
無添加や栄養を強化したものなど、より健康志向な商品も登場しているんですね。
田中さん:
ヨーグルトはできるだけ毎日、頻度高く食べていただきたいので、いろいろな食べ方やシーンに合う商品を展開しています。
『カルシウムと鉄分』については、思いがけずお子さんや幼児の栄養補給にぴったりだということで多くの親御さんに反響をいただきました。
そういったところで、お客さん層の幅が広がってきているのを感じますね。
正統×新鮮さで切り拓いてきた「明治ブルガリアヨーグルト」のブランド戦略
田口:
続いてブランディングについてですが、それでいうと「明治ブルガリアヨーグルト♪」のサウンドロゴがすごく印象的ですよね。
このサウンドロゴは、いつ頃から使われ始めたんでしょうか?
関根さん:
サウンドロゴは、発売当初のテレビCMから使い続けています。おかげさまで、かなり定着しているのを感じますね。
今でも変わらず、テレビCMといったメディアで使用していますよ。
田口:
最初の作曲が秀逸だったのはもちろんですが、それからずっと変えずに使い続けているのもすごいですよね……!
商品パッケージも長年変わらないお馴染みのイメージがあります。
田中さん:
そうですよね。でも、実はパッケージは少しずつリニューアルを繰り返しています。
ブランドイメージを崩さないようにしつつ新鮮さを加えているので、気づいていない方も多いかと思いますが、よく見たら変わっているという(笑)。
数年前のものと比較してみると、大きく違うのがわかるかと思います。
田口:
そうだったんですね。
田中さん:
ちなみに、パッケージを発売当時の牛乳パック容器から今主流の容器に変更したのは、明治が最初なんです。
他にも、中蓋を開けやすくするために紙からプラに変更するなど、長年細かい改良努力を続けています。
田口:
こうしてお話を聞いていると、伝統ある正統なイメージと斬新な挑戦のバランスが素晴らしいですね。
関根さん:
ありがとうございます(笑)。
実際、正統であるがゆえの信頼感と、新しいことへの挑戦・変化を常に掛け合わせていくことは意識しています。
根底にあるブランドイメージを守りつつも、時代に応じて少しずつ変化を加えて新鮮さを保っていくこと。これが、およそ50年近くもブランドが続いている理由の1つでもあると捉えています。
田口:
斬新な取り組みでいえば、『R-1』のように乳酸菌名を全面に出した商品というのも、明治さんが最初ですよね?
田中さん:
そうですね。そのトレンドを作ったのは2000年に発売された『明治プロビオヨーグルトLG21』が走りです。
この商品が、乳酸菌の健康価値に特化したヨーグルトの道を拓いたよう思います。
ヨーグルトの可能性は無限大…!?明治ブルガリアヨーグルトの気になる今後
田口:
ここからは、今後の戦略や展望についておうかがいしたいと思います。
昨年はコロナ禍で生活が大きく変化した年でしたが、明治ブルガリアヨーグルトヨーグルトについては、今後どんな展開を考えてらっしゃいますか?
田中さん:
昨年は生活様式が大きく変わって、家族で食事をしたり、自宅で料理をしたりする機会が増えた1年だったと思うんですよね。
さらに、ヨーグルトを料理に使う方が増えたことがわかっていることから、ここにヨーグルトをもっと広げていく余地があるんじゃないかと思っていて。
朝食として食べるだけでなく、昼食や夕食といった食事シーンでも楽しんでいただきたいと考えています。
田口:
食事シーンというと、単品ではなく、料理として使うイメージでしょうか?
田中さん:
その通りです。
ヨーグルトを使った料理はまだ一般的ではなくて、「料理には合わなそう」というイメージを持っている方もまだまだ多いんですよね。でも、決してそんなことはありません。
料理への活用をはじめ、ヨーグルトが持つ可能性をもっと訴求していきたいですね。
田口:
料理する際、ヨーグルトが食材として加われば、レパートリーも広がりそうです。
田中さん:
そうですね。今のご時世、家にずっといるからこそ料理のレパートリーで困っている方もいるのではないでしょうか。そこでレシピやアレンジを増やせるというのも、ヨーグルトが持つポテンシャルの1つかなと。
弊社のサイト「明治ブルガリアヨーグルト倶楽部」では、ヨーグルトを使った時短レシピなどを紹介しているので、ぜひ参考していただければと思います。
冷蔵庫に入っているヨーグルトを、「朝食以外のシーンでも使ってみよう」と思ってもらえれば理想ですね。
田口:
最後に、今後ウンログとコラボできそうなことがあれば、ぜひおうかがいしたいです!
関根さん:
例えば、ウンログでの記録と合わせてヨーグルトを食べた記録をつけていただくとか、または、ヨーグルトを使った料理の写真やレシピをシェアしていただくようなキャンペーンはどうでしょう?
ヨーグルトによってお通じをよくしてもらうだけでなく、そうやってヨーグルトを楽しむシーンを増やす取り組みができればと思いました。
田口:
すごくいいですね!ヨーグルトを使った簡単料理などを紹介できれば、一人暮らしの方はもちろん、働くママ世代の方にも喜んでもらえそうです。
明治ブルガリアヨーグルトチャレンジ、ぜひやってみたいですね。
田中さん:
ヨーグルトという“食品”のメリットは、健康にいいだけでなく、それを美味しく手軽に、毎日続けられるところにもあると考えています。
いろんなシーンで摂取できるので、ぜひ手軽な健康管理として、明治ブルガリアヨーグルトを役立ててもらえれば嬉しいです。
田口:
機会があれば、ぜひ企画させてください!