便秘・下痢のぶっちゃけトーク [医療従事者編](後半)

なかなか人前では話しづらい「トイレの中」の話。「匿名座談会」医療者編の後半です!

便秘・下痢のぶっちゃけトーク [医療従事者編](後半)

排便のエキスパートは便秘しない?

――医療関係者は生活が不規則になるから、便秘しがちという話を聞いたことがありますが、みなさんのお話をうかがっているとむしろ便秘しないような気がします。

みっちーさん (薬剤師)

いやいや。私は、すごく便秘しやすいです。運動もしないので……。だから、常に意識的にお腹に力を入れて、腹圧かけるようにしています

くるみさん (看護師)

でた。自分流の便秘対策。

みっちーさん (薬剤師)

そうなんです。気を抜くとデロンって身体が緩んじゃいますので、常に下腹部に力を入れて引き締めた状態で歩くように意識しています。
――日常的にですか?

みっちーさん (薬剤師)

そうです、そうです。何かしていると、すぐお腹の力が緩んじゃうので、なるべく意識を向けているんですが、それをやると、本当に便秘が解消されるんです。

くるみさん (看護師)

私は、帝王切開してるんです。帝王切開すると腸が癒着しやすくなるので、便秘するとイレウス(腸閉塞)になりやすいので、便秘には気をつけています。 水分もそうだし、マグネシウムも意識していますし、ヨガもやっています。あと、これは体質ですが、食べ過ぎると便秘になるので、食べ過ぎないように心がけています。 ただ、いっぱい食べないと便のかさが少なくて出ないって方もいらっしゃいますので、そこは人によって色々あると思います。でも意識していても1年に1、2回は便秘になるので、そういう時用に、消化器内科の先生から処方していただいた薬をお守りみたいに持っています。

あきさん (管理栄養士)

くるみさん(きつね)が、お昼をリンゴとヨーグルトだけで済まされたりしていたのは……。

くるみさん (看護師)

そういうことなんです。45年間生きてきて、こういう生活・食べ物はダメってのが分かっているので。かといって、ものすごく食事に気を付けているかというと、そうでもなくて、できる範囲の中でやれることをやっています。まぁでもね、そこは人間ですからドカ食いもしちゃうときもありますよ。

みっちーさん (薬剤師)

私は、下痢で脱水を起こして倒れて、救急車で運ばれたことがあるんです
――それは辛い物を食べた時ですか?

みっちーさん (薬剤師)

その時は焼肉でした。原因は、脂だと思います。便秘ももちろんつらいんですが、下痢は一度起こるとそれこそトイレと友達になっちゃうんです。私としては、日常生活に支障が出るのは。便秘よりむしろ下痢かな〜と思っています。

くるみさん (看護師)

そういう体質なんでしょうね。一般的に良いとされている方法は色々あるけど、人によって違いますもんね。でも、そこまで自分の身体が分かっているなら、大事の前は控えるってできますね。

みっちーさん (薬剤師)

後、チーズとアボガドを食べた時もダメでしたね。翌日出勤できませんでした。

くるみさん (看護師)

下痢で? それアレルギーかもしれないよ。

はるさん (作業療法士)

私は、牛乳がダメです。乳糖分解できなくて……。過敏性腸炎なので、下痢を繰り返してしまうんです。後は、生理周期の関係で、出る時と全然出ない時があって……。出ない時は強制退去みたいな感じで牛乳をあえて飲んで、荒療治しちゃいます。

くるみさん (看護師)

はるさん(うさぎ)みたいにやっている人の話、結構聞きますね。

はるさん (作業療法士)

そうなんですか?

くるみさん (看護師)

そう。コーヒー飲むと下痢するって分かっているんだけど、便秘がヒドくて耐えられない時にコーヒーを飲んで出しちゃうって。

みっちーさん (薬剤師)

なるほど。私も「これは、確実に食あたりしたな〜」って時は、早く出したいのでやる時あります。

自分の体質を自己分析して対策を

――皆さん、自分が何を食べたら下すかを把握されている。

くるみさん (看護師)

いや、私は何食べても下痢しないんです。賞味期限切れの物を食べても全然平気。みんな、おそらく、何かしらのアレルギーを持っているからじゃないかな。

はるさん (作業療法士)

確かに自分の体質を、ある程度自己分析しているかも。それこそ学会発表の直前に食べないようにしているものありますし、ちょっと怪しそうだったらお薬持っていきます。傾向と対策をしている気がしますね。

くるみさん (看護師)

でも、その強制撤去って、下剤の代わりに自分の身体にとってNGの物を食べて出しているってことなので、負担がかかるよね。

はるさん (作業療法士)

奥の手ですよね。

みっちーさん (薬剤師)

でも、やっぱりつい食べちゃう時もあります。脂が苦手なんですけど、いいお肉を食べたいじゃないですか? この間、家族でサーロインを食べたんですが、デザートの頃にはトイレから出て来られなくなっちゃって……。 いつも、さすがに慣れたかな?と思ってトライアルしては、苦しんでいます。

くるみさん (看護師)

せっかくの美味しいお肉を……。

みっちーさん (薬剤師)

そうなんです。鶏肉は、基本大丈夫なんですけど、コンディション悪い時は、鶏のもも肉でも下しちゃうんです。豚バラはまずダメなので、豚汁がすごく好きなんですが、豚バラ肉は使えません。動物性の脂がダメなんだと思います。

くるみさん (看護師)

結構デリケートなんだね。それをちょっとずつ取り入れる努力していると……。

みっちーさん (薬剤師)

自己分析はほぼできているんですけど、食べたい願望に打ち勝てずに……。

くるみさん (看護師)

欲が勝っちゃうのね。でも、自己分析できて自己ケアができればいいんですよ。下痢した時に危ない症状は、やっぱり脱水だとか低カリで倒れちゃうことなので、そこら辺のケアまでできればいいのかなって思うね。倒れたままになると危ないので。

みっちーさん (薬剤師)

今は下したらひたすら水飲みますね。もう二度とあの過ちを起こすまいと……。
――あの過ち?

みっちーさん (薬剤師)

実は一回失敗してるんです。電車の中で倒れちゃったんですよ。

はるさん (作業療法士)

えー、大変!
――意識はあったということですか?

みっちーさん (薬剤師)

いえ……。その時はいつもと違う感じで、吐き気がして。降りようと思って席を立ったら、血圧下がってその場で倒れちゃって。誰かが降ろしてくれたみたいで、気づいたらもうホームだったので、倒れたんだなと気が付きました。

くるみさん (看護師)

脳外科でも同じことが起こる患者さんいますよ。迷走神経反射というんですが、例えば下痢して急に血圧下がって倒れるんですね。リハビリ中に、急に起こることがあります。

はるさん (作業療法士)

ありますね。いきんでいきんで血圧上がって、ストンと落ちてしまう。

くるみさん (看護師)

トイレで下痢になって血圧が下がって急に倒れる方もいます。だから下痢には気を付けて下さい
――皆さんの話を聞いていて興味深いのは、それぞれが自分の専門をベースに便秘解消を意識されていることですよね。作業療法士はウンチングスタイルや腸マッサージを意識して、栄養士さんは栄養、看護師さんは生活習慣……。自分の便秘ケアと職種が一致する部分がありますね。

はるさん (作業療法士)

どうしてもやっぱりそれを第一に、まずパッと考えちゃう。

腸はデリケートな器官。ちょっとした環境の変化で…

――「医療者は便秘がち」という話は間違いという気がしてきました。

あきさん (管理栄養士)

うーん。便秘がちではあると思いますけど。ストレスもありますし。

くるみさん (看護師)

そうですね。生活は不規則で、業務合間に水分を取るタイミングを見つけづらいこともあります。あと看護師だと夜勤があるので、睡眠不足や睡眠リズムの変動で便のリズムがつかめないとかあると思うんですよ。急にうまく出せなくなるとか。 以前、夜勤が多かった時は、出そうな時に我慢せずに出してましたし、今程気を付けていませんでしたね。私が意識し始めたのは、出産で帝王切開を経験して、腸閉塞になりやすいと言われてからですね。

みっちーさん (薬剤師)

私は、実家は東京なんですが、大学は地方の大学に行ったんです。移動手段はバスしかなくて「電車はないんですか」って聞いたら「あるわけないだろ」って返ってくるような場所でした。そのバスの移動が私としてはストレスで3か月位便秘になりました。

くるみさん (看護師)

3か月も? やっぱり腸はデリケートだね。

みっちーさん (薬剤師)

生活環境の変化はすぐ影響しますね。

はるさん (作業療法士)

私は、旅行に行ったらもうダメですね。

くるみさん (看護師)

私も旅行とかダメ。だから、それほどデリケートなんですよね。

はるさん (作業療法士)

あと家に人が居てもと絶対ダメです。

くるみさん (看護師)

分かる!

みっちーさん (薬剤師)

私は、逆ですね。実家に帰ると、めっちゃ快便です。
――ウンログアプリ内の匿名コミュニティでも「結婚したら便秘になった」「お昼に用を足したいのに、旦那から電話がかかってきて出せなくてイライラした」なんてコメントもがありました。旦那さんがストレスになることもあるんだなと。

はるさん (作業療法士)

旦那さんお気の毒に……。

くるみさん (看護師)

便秘にも、弛緩性便秘と痙攣性便秘があるじゃないですか。痙攣性便秘の人の原因はほとんどがストレス。腸の蠕動(ぜんどう)運動自体が弱くなっていて、腸自体も痙攣していきめなかったりするので、痙攣性の人は生活を整えることが本当に大事なんです。だから、時間通りにトイレ行けないというのは、良くないですよね。 でも、それでも生活を整えられない人も多いので、そういう痙攣性便秘の人は、水溶性食物繊維のネバネバ系とオリゴ糖をジョイントさせるのを勧めたりしています。

みっちーさん (薬剤師)

私も、ヨーグルトにオリゴ糖よく入れてます。

くるみさん (看護師)

それも良いよね。

みっちーさん (薬剤師)

そういえば、最近、1975年の頃の食事が良いって言われてるらしくて。

はるさん (作業療法士)

1975年?

みっちーさん (薬剤師)

便秘というよりは、ダイエット文脈なんですが、一汁三菜とか。お味噌汁とぬか漬けと、あとお魚とかバランスよく色んな物をたくさん食べれてたから、腸内が整ってすごい良かったって。

くるみさん (看護師)

発酵食品も乳酸菌増やすからね。たぶん漬物も、きっとその家のオリジナルの乳酸菌だったんですよ。自分の家で漬けるから代々引き継がれる…。
――なるほど、確かになんか納得感ありますね。

くるみさん (看護師)

あと、お肌のゴールデンタイムじゃないですが、腸のゴールデンタイムって知ってます?
――腸のゴールデンタイム? 出やすい時間ということですか?

くるみさん (看護師)

腸の機能が活性化して、消化や老廃物の排泄がしっかり行える時間。副交感神経が活性化する時間です。

はるさん (作業療法士)

消化器系って基本的に副交感神経ですよね。

くるみさん (看護師)

そうそうそう。

はるさん (作業療法士)

そう考えると夜間に覚醒しているんですかね。ちゃんと眠れないとやっぱり腸の動き悪くなりますよね。

くるみさん (看護師)

だから、お肌と腸のゴールデンタイムは同じなんですよ。多分、しっかりとリラックスして睡眠を取って、副交感神経を活性化できる時間を確保しないと腸の効果を高めることができないんでしょうね。

はるさん (作業療法士)

睡眠不足になると、プツプツができますし、太りやすくなります。

くるみさん (看護師)

腸が動かないとね。だから本当にそのゴールデンタイムってうまい表現ですよね。腸のゴールデンタイム・お肌のゴールデンタイムに起きてると、副交感神経が活性化うまくできないからってことでしょうね。

肌の荒れ具合で便秘ってわかりますか?

――便秘すると老廃物が肌から出るとか言うじゃないですか。顔を見て、この人は頑固な便秘だな〜とか分かったりするものでしょうか?

くるみさん (看護師)

分かんないよね。

あきさん (管理栄養士)

それは分かんない。

はるさん (作業療法士)

でも、お腹の音を聞いたり触ったりすれば分かる。

みっちーさん (薬剤師)

便秘すると腸が硬くなりますので、アロママッサージやのの字マッサージって、理にかなっていると思います。さすってあげるだけでもお腹がゴロゴロ言い始めたりしますので。

はるさん (作業療法士)

腸自体は他の臓器に比べて突出してるので触診しやすいんですよ。便秘の方は、だいたい下行結腸から直腸にかけて溜まっている人が多いので、蠕動運動で出すような感じでずらしてあげれば。

くるみさん (看護師)

本当に腸の形が分かるぐらいの時もあります。詰まってる時、お風呂に入って腸がポコって出ていることがあって、そこをやさしくスクイージングしていくと、急にトイレに行きたくなる時がありますよ。腸の形や固さは、慣れないと分かりづらいですが、慣れると便秘の時は全然違うって分かるようになりますよ。実際に便秘の方で、固くなっている人とかも多いですね。 あと、私もそういう時あったんだけど、ヒドイ便秘の時って憂鬱になっちゃうんですよね。
――便秘の時に?

くるみさん (看護師)

そう。でも、逆に、しっかり出るだけで、もうなんかすごい一日がやる気が出たりとか。

やっぱり下剤の飲み過ぎには注意。自分の便秘傾向を把握して自浄を。

みっちーさん (薬剤師)

人によっては市販の下剤を100粒とか飲んじゃう人いますよね。出ないと憂鬱になるからついつい増えちゃうんでしょうね。そういう方も薬で出すことを辞めたいって気持ちがあると思うのですが……。

はるさん (作業療法士)

そこまでいくと気持ち的な依存が強くなってしまっているかもしれませんね。

くるみさん (看護師)

下剤に頼ってばかりいるのは悪循環ですね。さっき、あきさんが、腸のヒダヒダが大事って言ったじゃないですか。具体的にどう作用しているのかまではわからないんですが、下剤を飲み続けている人の腸を大腸ファイバー(大腸内視鏡)で見るとつるんとしてるんです。腸がうまく機能しないんじゃないかなって。元気な人の腸はシワシワなので……。
――確かに、腸がつるんとしてたら、腸内細菌も少なさそうですね。

みっちーさん (薬剤師)

刺激性の下剤はくせになるので、本当に便秘の時だけにしないと、錠数を増やしていかないと効かないという状況になっちゃうのです。薬剤指導の時も、本当に便秘がひどい時の最後の手段というふうに説明してます。

はるさん (作業療法士)

お薬に頼りっぱなしになると、自浄作用や自己治癒を抑えちゃうことになるんですもんね。

くるみさん (看護師)

看護師は、浣腸や摘便(てきべん:指で肛門を刺激して排便を促すこと)をお願いされることがあるんですが、これって便が肛門(直腸)まできてないと意味がないんですよ。この手の便秘の人は、いきんでも出ないんです。消化器の先生が「うんこが栓をしている」なんて言っていたことがありますが、固いうんこが腸内の途中で栓になっていることがあるんです。その場合、その「栓」が取れると一気に出ることもあるんです。 だから、自分の便秘の原因を知ることはやっぱり解決するためにも大切ですよね。
――便秘で悩んでいる時に、これって大腸ガンの予兆では?と不安になる人もいらっしゃると思いますが、それはどうでしょうか?

くるみさん (看護師)

これは消化器外来を始めてわかったことなんですが、すごく便秘の人で悩んでいる人をいざ大腸ファイバーした結果、何もない人は、意外に多いんです。 大腸ガンの兆候で便が細くなることもありますので、自分のお通じに気を配るのはもちろん大事ですが、あまり過度に心配しすぎるのもよくないんだなと思いました。便が細いと悩まれていらっしゃる方がいますが、人間生きていれば色々な時がありますから、便が細い時があれば、太い時もある。常にスタンダードってことはないんです。 ただ、調べて何もない…ということが分かって安心することもありますので、便秘が長く続いている人の結果が「異常なし」の時も、何もないって事実に安心することもあるのかもしれませんね。
――貴重なお話をありがとうございました!