排便時のつらい痛み……便秘が原因のイボ痔の基礎知識

始まりは便秘から…便秘とイボ痔の深い関係

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便秘でなかなか出ないからと強くいきんだり、長時間トイレに 座ったままだったりすることはありませんか?

トイレの中のこれらの行動は、肛門の周りの血管がうっ血してイボ痔になりやすくなります。今回は、痔の中でも特に多く見られるイボ痔についてお伝えします。

そもそもイボ痔ってどんなもの?

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イボ痔は、医学的に「痔核」と呼ばれており、できた場所別に2つに分けられます。具体的には、「歯状線」と呼ばれる、おしりの奥2㎝の所にある直腸粘膜と肛門の境目より上側か下側にできたか。

2つのイボ痔については以下になります。

内痔核

内痔核は、歯状線より上側にできた、肛門の奥の方にあるイボ痔。内痔核は直腸粘膜にできたできものを言います。トイレでの長く強いいきみによって、直腸粘膜に張りめぐされている血管に血がたくさん集まることが原因とされています(うっ血)。

外痔核

外痔核は、歯状線より下側にできた、肛門手前にできたイボ痔。内痔核と同様に、トイレでの必要以上のいきみによって、肛門の皮膚に網のように張った血管がうっ血することが原因です。外痔核は、血の巡りが悪くなって血栓ができたようなものと言えます。

痛くなくても痔主の可能性はあるのです

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肛門にできものができるイボ痔は、痛みや出血などの症状が出やすいイメージがあります。

しかし、イボ痔の中でも、肛門の奥の方にできる内痔核では、痛みを感じることがあまりありません。

理由は、内痔核が直腸の粘膜にできたものだから。

直腸粘膜には、知覚神経がないので、病変が周りの組織を圧迫したりするなど、よほどのことがない限り痛みを感じることはないのです。

そのため、内痔核が進行して、血が出たり、トイレでいきんだときに内痔核が外へ飛び出たりするなどの症状がないと、なかなか気付きにくいという特徴があります。

ちなみに、内痔核によって飛び出たできものは、病状の進行とともに、自然に戻らなくなり、トイレの度に指で押し戻すようになるという悲惨な状況にも…。

一方の外痔核は、痛覚のある皮膚組織でできている肛門にできるため、痛みは強く感じやすく、鏡で見れば自分でも確認しやすいので、病変を比較的早く発見できるでしょう。

冷えは大敵! 痛みや出血がひどい場合は病院へいこう

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いきむ時間が長くなることでできるイボ痔を防ぐポイントは、まずは便秘をコントロールすること。

実は、人がトイレでいきんでいる時は、血管にとっては尋常ではない圧力がかかっています。

いきみによって生じる腹圧は200mmHgと言われており、脳の血管だったら破けているところ。

肛門の血管に負担をかけないためにも、便秘を予防して、いきむ力をより弱く、そして短くする必要があるのです。

便秘対策としては、食物繊維や発酵食品を積極的に取って。腸環境を整えることがポイントとなります。特に、水溶性食物繊維や十分な水分の摂取は、便を適度な柔らかさにするうえでかかせません。その上で、運動などをして腸の運動を助けてあげれば良いでしょう。

もう一つ注意したいのが体の冷えです。

体が冷えると、心臓から遠くの血管であるほど収縮する傾向になり、いきんだ時の血管の負担がより大きくなります。

特に、イボ痔になりやすいと言われている女性は、冷えは禁物。お風呂で血行を良くし、お腹などを温める工夫して、肛門の血行を良くしイボ痔を防いでいきたいものです。初期の外痔核は血栓のようなものなので、血の巡りを良くすると治ることもあるそうです。

生活習慣を改善しても、イボ痔がなかなかよくならない場合は、病院へ行きましょう。

痔核は悪性のものではないので、共存することもできます、しかし、痛みや出血で困った場合は、専門医に受診して治療を受けることをおすすめします。

まとめ

トイレでの長く強いいきみは、イボ痔ができる原因となります。

イボ痔の種類によっては、気付かないうちにできてしまうこともあり、日頃からの対策が必要です。

便秘や冷えを予防して、肛門の血管を労わったトイレ生活を送るようにしましょう。
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