10月にサービスリリースしたウンログ・腸内フローラ検査。 一足先にヘルスケア分野にも造詣が深い堀江貴文さん&寺田有希さんの腸内フローラを検査させていただきました。対称的な結果が出た2人ですが、その結果は…? 2人の結果を、腸内細菌専門家・岡山大学教授の森田英利先生とアプリウンログの生みの親・田口敬が深掘ります。 ※本記事は、ホリエモンチャンネル・クリニックを記事化したものです。 >>第1回目の記事「今の研究では解明不能!? ホリエモンこと堀江貴文さんの特殊な腸内フローラとは」を読む
ホリエ菌を飲めば二日酔いもバッチリ!?
堀江さん
疑問に思っていたんですが、毎日、彼ら(腸内細菌)は排出されているんですよね? 毎日リセットされていながら、それでも(腸内細菌は)腸内に残っている?
森田教授
残っています。人間の身体の一部である腸管の表面に粘膜層があり、この粘膜層の上を食べ物が通っていきます。その時、表面の腸壁が剥がれて便になりますが、表面より奥のムチン層に棲んでいる菌は、そこで生きて、死んで、増殖してを繰り返しています。言い換えると、人間の中に菌が定着しています。
堀江さん
じゃあ、この能力未知菌はずっと残っている?
森田教授
そうです。ずっと残っています。抗生剤を飲んだりして一時的に減ることはありますが、また数時間、数十時間すると元の菌叢(きんそう:菌の群れのようなもの)に戻っています。
堀江さん
少し話は変わりますが、以前、歯周病検査の一環で口腔内細菌の検査をしたことがあるんです。幸いやばい歯周病菌はいなかったんですが、そもそも口腔内は、むし歯菌と歯周病菌の争い。歯周病菌も深刻具合が違う歯周病菌同士の争いがある。中には口から硫化水素を出すような悪い菌もいる。
寺田さん
つまり口臭が……。
堀江さん
うんこみたいにするヤツ(菌)がいる。それがいたら最悪なんですが。
口腔内も、そういう歯周病菌や能力未知菌やらがシェア争いしている。たまに、むし歯菌がいない人がいて、そういう人は、「25年間生きてきてむし歯になったことがないんだよ」なんて言っていたりするけど、それは彼らがちゃんと歯みがきをしていたからというわけでは必ずしもない。単にむし歯菌がいないだけ。
でも、彼らは逆に口腔内の歯周病菌比率が高いので、歯周病になりやすい。これって意外と知られていない。腸内フローラもそれに似た考えかなと。
森田教授
まさに、腸内も同じ考えですね。
堀江さん
菌は生きられる範囲が限られているから、その限られた場所でシェア争いをしている。…で、僕の腸内フローラに話を戻すと、ある特定の菌がすごくいる。多分、お酒の飲み過ぎとかで、変な耐性菌がいるんじゃないかと。笑
寺田さん
いそうですね。アルコールに強いヤツ(菌)とか。この能力未知菌の中に。
堀江さん
アルコールから身体をまもるヤツ(菌)が。
寺田さん
それほしいな〜。
森田教授
実際に、アルコールを分解する菌もいますし、分解できる菌でないと堀江さんのお腹の中では生きられないでしょうから、そこで選択圧がかかります。
寺田さん
いますね。
堀江さん
いるね。酒に強くなる菌が。
田口さん
お酒を飲む前に「ホリエ菌」を飲めば二日酔いもバッチリ。
理想的なビフィズス菌比率は?
森田教授
堀江さんの腸内フローラで興味深かったのは、ビフィズス菌が思ったより少なかったことです。堀江さんに食生活をうかがう限り、ビフィズス菌はもう少し多くても良さそうな印象でしたので。
寺田さん
ビフィズス菌は具体的にどんな役割を?
森田教授
ビフィズス菌は、日本人に非常に多い菌で、整腸効果を促します。この菌が多いと、腸が整ってますねと言えると思います。でも、このビフィズス菌がほとんどいない。
寺田さん
普通はどれくらい?
森田教授
20%近くはいる印象です。多い人だと30〜40%の人も。
寺田さん
とすると、0.1%は確かに少ない。
森田教授
……ここで寺田さんの結果をお返しします。
寺田さん
ちょっと待って! 怖い怖い……。バランスかく乱菌おるし……。
森田教授
そこ(バランスかく乱菌)はいったん置いておいて、バランス調整菌の内訳を見てください。
寺田さん
あ、めっちゃビフィズス菌おる。バランス調整菌が、私は55%。
堀江さんにはおらんかったバランスかく乱菌が13%もおるけど…。
堀江さん
この結果は普通ですか?
森田教授
いや、かなり良い方です。バランス調整菌が50%を越える方は、見なくはないですが少ないですね。お二人の結果はかなり対称的でした。
寺田さん
バランス調整菌の中で、ビフィズス菌が28.8%、フィーカリ菌が24%。でも、バランスかく乱菌にコプリ菌が……。
堀江さん
かわいい名前だね。ピロリ菌…みたいな。
寺田さん
ピロリ菌も悪いやつやん。こいつ(コプリ菌)も悪いやつだと思うんですが…
堀江さん
説明には「関節リウマチ患者で多く検出される細菌…」と。
森田教授
これはリウマチ患者さんに多い菌であることが論文から分かっていますが、この菌が原因でそうなっているかどうかはまだ分かっていません。いない方がいいとは思いますが、これがいることでただちにそういった病気になるというものでもありません。寺田さんはバランス調整菌比率が高いので、全体としてはさほど気にすることではないかなと思います。
寺田さん
リウマチってどんな病気ですか?
堀江さん
年をとった女性に多くて、本来は外的を攻撃する自分の免疫細胞が、自分の細胞を間違って攻撃してしまう。結果、炎症がおきる。関節リウマチとなると、それは痛いそうですよ。……で、このコプリ菌が、リウマチに関係している「かも」しれないと。
森田教授
そうです。腸内細菌が人の免疫系をかなりコントロールしていますので。
堀江さん
それは、よく聞きますが本当ですか?
森田教授
はい。人の免疫担当細胞を腸内細菌が作っていますので。たとえば、リウマチの場合は、自己免疫疾患が強すぎてしまう病気ですが、本来はその自己免疫を緩める免疫担当がいて、それを作っているのは腸内細菌の一種です。その腸内細菌は、バランス調整菌に分類しています。
堀江さん
それは僕の腸内フローラにはいない?
森田教授
今回は、検出限界値以下だったということですね。全くいないことはないと思いますが。
堀江さん
免疫と腸内細菌の関係は強いんですね。でも、腸内細菌も言ってみれば、人間にとってみれば外敵ですよね?
森田教授
血管の中に入ってきたら外敵ですね。でも、腸管にいる時は共生関係です。この菌がいるから、人間の身体の中に、免疫細胞ができている。だから、無菌人間を仮に作れるとすると、その人間には免疫細胞がないはずです。
堀江さん
なるほど。じゃあ、免疫系の疾患で無菌室に入っている人の腸内はどうなっているんですか?
森田教授
彼らの中に菌はもちろんいます。一度棲みついた菌は基本的に取れませんので。自己免疫疾患の場合、免疫を弱める薬を摂取します。その際に、感染症を起こしやすくなるので、彼らが無菌室にいるのは、それを防ぐためですね。
堀江さん
つまり、新しい外部菌への対策ということですね。もともといる菌はそのままいると。でも、腸内フローラの中の菌自体は攻撃されないんですか?
森田教授
健康な身体だと、口からどんどん色々な菌を摂取して、都合の良い腸内細菌をセレクトして残します。私たちの場合、既に定着してほしくない菌は排除していて、自分の身体に都合の良い腸内フローラを形成しているので、攻撃されることは基本ないと思います。
堀江さん
免疫システムと密接に結びついているんですね。
森田教授
はい。人間側も腸内フローラを選んでいる。
堀江さん
つまり、僕も腸内フローラを選んで、今の腸内フローラにしているということですね。じゃあ、やっぱり寺田さんも気をつけた方がいいかもね。
寺田さん
コプリ菌がいるということは……。
堀江さん
リウマチになるかもしれないってこと。
寺田さん
やだー。リウマチって何歳から発生リスクが高まるんですか?
堀江さん
(ニコ生の)書き込みに「リウマチって、妊娠後に発症するリスクが高まる」と書いてますね。妊娠は異物を体内に入れることでもあるからでしょうね。
森田教授
実際、妊娠は免疫に大きく影響しますね。非自己を受け入れてるので免疫を緩めている。
堀江さん
免疫系が変わるんですね。異物だけど外敵ではないですから。そして、それが原因で、リウマチにかかりやすくなる。……って、あれ? 寺田さん落ち込んでます。
寺田さん
いや、怖いなーって。
森田教授
まぁ、現状すぐにどうこうなるわけではありませんから、そこまで心配しなくても大丈夫ですよ。
寺田さん
全然予定ないですけど、もし妊娠したら、いまこの腸内フローラがガンっと悪くなって、コプリがグンって伸びる可能性があるってことですよね?
森田教授
可能性は0ではないですね。
寺田さん
いや、こわい〜。
編集 キベンジャー
プロカメラマン。イラストは、「はなもくらせば」連載中の元本モトコによる似顔絵。自宅のトイレに折りたたみ式の机を置いて仕事したいと考えてる。便秘はあまりしないが、辛いもの食べると下痢をしがち。
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