二足歩行生物の宿命!? 腰痛の原因は…
ヒトが直立二足歩行を始めたことで現れるようになった腰痛。もともと四足歩行だった人間の祖先の背骨の配置は横方向で、それに合わせた構造となっています。最大の転換は、それが歩行を始めたことにより、背骨の位置が縦になってしまったこと。腰痛は、重い頭部をはじめとする上半身を支えるために、腰に負担がかかるようになったことが原因のひとつなのです。
人類の宿命ともいえる腰痛は、痛みの程度の差こそあるものの、症状を抱える人は多いものです。けれども、病院へ治療に行っても、骨や筋肉の周辺に異常は見られず、これといった原因が見つからないというケースが8割も占めているそう。 休息や温めたりマッサージなどで、腰痛の症状は多少改善しますが、すぐにまた戻ってしまうことも。
患者数が多いのに、原因が特定できず対応が難しい厄介な腰痛。もしかしたら、この腰痛の原因を知るカギに、便秘があるかもしれません。
便秘から腰痛が起きることもある!
一見すると、大腸のトラブルである便秘と、腰の筋肉のトラブルである腰痛は無関係のよう。しかし、ポイントとなるのは両者の場所が近いということ。
便秘になると、便やガスが充満するので、大腸の中で膨らみます。この膨張した腸が、腰周辺の組織や血管を圧迫し、血流が悪くなって腰痛が発生するのです。また、便秘になると新陳代謝も低下して、疲労物質の排出もうまく行かなくなるために、腰痛や頭痛などの症状が悪化するという専門家もいます。
ストレスと生活習慣が便秘と腰痛を呼ぶことも
便秘が腰痛を引き起こすだけでなく、次のような場合、腰痛と便秘が一緒に現れるケースもあります。
自律神経が乱れている
生活習慣が乱れたり、強いストレスが加わると、自律神経のバランスが崩れやすくなるのはよくいわれること。自律神経は体の内臓の働きをコントロールしているので、このバランスが乱れると、便秘、腰痛といったさまざまな不調が現われるようになります。
運動が不足気味
運動不足の人は、立ちっぱなしや座りっぱなしの姿勢が多くなりがち。運動不足は筋肉量が減ることで、骨盤が歪みやすくなります。骨盤が歪むと全身の重心のバランスが崩れ、腰痛が起こりやすくなります。
一方の、運動不足そのものが便秘の原因となることは、すでに皆さんご存知ですね。さらに運動不足による骨盤の歪みも、大腸が正常な位置を保ちづらくなるので、機能低下しやすくなり便秘になりやすくなるのです。
強いストレス
便秘にも大敵のストレス。また、最新の腰痛の研究では、強いストレスが便秘の原因になることが分かっています。ストレスを感じると、脳内で痛みを抑える物質も減少することから、痛みを敏感に感じやすくなるので腰痛になりやすいとか。
便秘も腰痛も慢性化する前に対処したい
このように、なんらかの原因をきっかけに、便秘と腰痛の両方が症状として現われることがあります。便秘と腰痛がなにかの病気ではなく、生活習慣の乱れが原因である場合、改善をすれば、便秘だけでなく腰痛も改善する可能性が。
一方で、腰痛と便秘が併発するケースとして、何か重大な病気が隠れているケースも。具体的な病気として挙げると、がんなどの大きな病気から、脊椎や尿路結石などの泌尿器系の病気、また女性なら子宮内膜症など婦人科系の病気が挙げられます。腰痛と便秘を併発していて、なにかほかの症状があれば、まずは病院で確かめるようにしましょう。
まとめ
便秘は万病の元といわれるように、腰痛の原因になったり、腰痛などそのほかの症状をともなって現れることがあります。毎日の生活習慣が原因で、便秘や腰痛に悩まされていた人は、便秘に焦点を当てた対策をすることで、腰痛の改善も期待できるかもしれませんね。
参考文献
1) https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/22074
2) https://dot.asahi.com/wa/2016081000323.html?page=2