. 年を取ると便秘になりやすいって本当?
高齢になると、食事や水分の摂取量が少なくなる傾向にあり、便の質に変化が起こります。たとえば便のカサが減ったり、便が固くなることで、便の移動が停滞しがちになります。
高齢者の便秘にさらに拍車をかけるのが、加齢による筋力の低下です。特に腹筋が弱くなると、排便時にいきみが弱くなるだけでなく、内臓の位置が下がることで、腸が押しつぶされたような状態になります。このような状態では腸がきちんと機能せずに、ますます便秘に陥りやすくなります。また高齢者の便秘の中には、ポリープやがんなど大腸の病気が隠れている可能性も。
2. 妊娠中も便秘になりやすいっていうけれど…?
高齢でなくても便秘が起こりやすい時期が、女性の妊娠期間です。妊娠中は女性ホルモンの影響で、子宮の収縮が抑えられますが、その影響は腸にも及びます。腸のぜん動運動が活発でなくなることで、便の移動は滞りがちに。また妊娠中では、栄養だけでなく水分も体にため込みやすくなるので、便は固くなります。
便が固いと移動が遅くなるので、これも便秘の原因に。また人によっては、つわりによる食事の変化や、妊娠中のストレス、運動不足なども便秘を促進させます。
. 体に負担をかけずにできる「排便体操」で便秘知らずに
便秘の解消には、食生活の見直しが効果的とされますが、高齢の方が長年の食事の好みを変えるのは難しいことがあります。また妊娠中では体がエネルギーのあるものを欲するので、なかなか理想の食事を取り入れられないことも。
食事の改善がダメなら、便秘解消におすすめしたいのが運動です。運動には腸の動きを促進させる効果があります。しかしこちらも、高齢者の中には足腰が弱っていて外へ出られないという方や、妊娠中の女性では大きいお腹で動きが制限されてしまうこともあります。そんな時でも手軽にできるのが排便体操です。
排便体操は、腹筋などの筋力をつけるだけでなく、腸をゆらしたり動かす運動を取り入れることで、便秘の改善を行うものです。
. 寝たままでも、立っても、座っても。 無理ない姿勢でトライ
排便体操は自宅で簡単に行える体操です。自分の体力や運動レベルに応じて運動方法を選べるので、高齢者や妊婦の方にもおすすめ。具体的な運動方法は次の通りになります。
寝たまま行う場合
寝たままで行う排便体操は、寝たきりの高齢の方に適したプログラムです。一人で行えない場合は、介助してもらってもOKです。
1. 仰向けになり、両膝を立てます。
2. 足を床から離し、膝を胸の方へ引き寄せ5秒キープ。これを10回行います。 この動きが難しい場合は、両手で膝を抱えるようにします。
3. 次に仰向けのまま、腹式呼吸を10回行いましょう。
4. 今度は両ひざをもう一立てて、左右のどちらかに倒し、顔は足と反対方向を向くようにして上半身をねじります。左右往復10回行いましょう。
5.最後に腸の流れに沿って、大きく「の」の字にマッサージを2周して終了です。
座ったまま行う場合
普段寝たきりの人でも、座位の姿勢を取れるのならチャレンジしてほしいのがこちらのプログラムです。下記の運動が行えなくても、座位の姿勢を保つことだけでも腹筋や背筋が鍛えられます。一日中寝たきりの人でも、1日の中で座位を取る時間を持つようにしましょう。
1. 椅子に腰かけ、座ったまま腹式呼吸を10回行います。
2. 次に両手を水平に伸ばし、そのまま上半身を右側へ引き寄せます。次は反対方向の左側へ上半身を引き寄せます。
3. 今度は椅子に浅めに座り、両側の座面に手をついて背中を少し丸めます。そのままの状態で、両ひざを上げて、5秒間キープ。これを10回繰り返しましょう。
4. 最後に肘を直角に曲げて上に挙げます。そのまま片方の側に手を叩くように重ねます。左右5回ずつ行いましょう。
立ったまま行う場合
1.足を肩幅に開きます。両手に1㎏のダンベルなどの重りを持ち、ダンベルを前後に振るようにして、上半身をねじります。
. まとめ
高齢の方や妊婦さんは、便秘に効果があるとされる理想の食事や運動を取り入れるのが難しい場合もあるかもしれません。
排便体操は自宅で手軽にできるので、加齢や妊娠による運動不足を解消するのに役立ちます。自分のできるレベルで排便体操を行って、快便を目指していきましょう。
参考文献
http://www.carenavi.jp/jissen/ben_care/taisou/validity.html