誰もが経験ある便秘 じつは立派な病気です
理想は1日に1回。2~3日に1回でも、体調に問題がなければ良しとしましょう。1週間前に一度だけのあなたは、ちょっとマズイかもしれません。
これは排便ペースについてのお話しですが、あなたはどれに当てはまりましたか。
ペースや量に個人差はありますが、食べたら出すというのが人体の正常な働き。たとえ一日でも出ないことで、腹痛や不快感などの症状があるならば、それは「便秘症」という立派な病気になります。
女性や子ども、高齢者は便秘になりやすく慢性化しやすい
誰しも毎日ウンチを出して、すっきり過ごせればよいのですが、便秘はなりやすい人は慢性化することもあるので注意が必要。便秘になりやすい人は以下の方々です。
まずは女性。
女性は、男性に比べて筋肉量が少ないため、内臓が正しい位置から下がって腸を圧迫してしまったり、ぜん動運動が弱くなったりして便秘になりやすいと言われています。
特に、生理前はホルモンの影響により便が固くなるため、便秘が悪化することも。また、ダイエットなどで食事量が極端に減ることで、便秘になることもあるので注意が必要です。
次に高齢者。
高齢者も年齢を重ねるとともに、筋肉量が減るので便秘になりやすくなります。さらに、運動量も減り、人によって食事量も減るので便秘に拍車がかかってしまうことも。
最後に子ども。
子どもの体型を象徴するポコンと出たお腹は、腹筋が発達していないから。
そのため、子どもはいきむ時に腹圧がかかりづらく、便が固くなると出しにくくなります。また、小さい子どもほど、野菜など食物繊維の豊富な食べ物を、嫌って口にしないケースが多く、便秘になりやすくなるのです。
こんなにコワイ 重症化した「便秘症」
ついつい侮ってしまう便秘。
「ただの便秘だからいいや」、と便秘を放置すると重症化することも。
便秘の初期症状として腹痛、膨満感、それによる食欲不振が起きます。
出すべき便が出ないと、便の水分が吸収されて固くなり(そして場合によっては大きくなり)、ますます便が出なくなります。
ここで便意を感じても、固くなった便を出すのはあまりに痛く、我慢することで便意自体にも鈍くなり、便秘はさらに悪化の帰路をたどる一方に…。
便秘は重症化すると「腸閉塞」を起こすこともあり、命に関わることもあるのです。身近な症状である便秘も、実はとってもコワイ病気なのです。
便秘中の人で、特に注意が必要なのは子どもです。
嘔吐やオナラ、便意によるストレスなどさまざまな不調が出てくることがあります。
本人の意思によらず便失禁してしまうこともあり、心の傷を残すことも。一方で、子どもは自分の症状を上手に伝えることができないので、急激な腹痛が襲って病院へ駆け込んだというケースも多々あるのです。
恥ずかしがらずに受診したい「便秘外来」
便秘の悩みというと、人にはなかなか打ち明けられないもの。
便秘のために病院へ行くのも億劫だという人が多いのではないでしょうか。
そこで利用したいのが「便秘外来」です。
便秘外来は、もともと病気による症状や薬の副作用として便秘がある患者さんのために開設されたもの。
しかし、全国の便秘外来はここ数年増えてきており、日本の数十か所の医療施設が便秘外来を開設しています。
患者さんの中には、便秘のみの症状の人ももちろんいて、数年先まで予約待ちという施設もあるほど。いかに多くの日本の皆さんが、便秘に悩んでいるのかが伺えます。
便秘のセルフケアと下剤のお話し
便秘を解消するには、食事や運動などの日常生活を整えるなど、自分が努力することで改善するケースがあります。
しかし、便秘の中には、腸の形状そのものに問題があったり、他の病気や心のストレスが引き金になっていたりするケースも。
便秘が改善しないからと言って、市販の下剤を使い始める人もいますが、習慣になる場合もあり、常用はおすすめできません。
下剤にはいくつかの種類がありますが、腸を刺激するタイプのものを使い続けると、腸が刺激に慣れてしまい薬をどんどん増やさなければならないという事態になることもあります。
そうすると、腸の機能が低下することで、便秘はさらにひどくなってしまうのです。自己判断で下剤を乱用する前に、専門医の元でしっかり治療を受けたいですね。
おわりに
身近な健康問題である便秘。便秘は日常生活で改善できる場合もあります。
しかし、そうでなければ市販の下剤を頼りすぎてしまうよりも、専門医を受診した方がよいと言えます。
もしあなたが長年便秘に悩まされているのなら、恥ずかしがらずに「便秘外来」の門を叩いてみてはいかがでしょうか?