1. 大豆製品が老化に効くっていうけれど…
健康食品として世界中から注目を集めている大豆。日本でも、大豆製品をよく食べる地域では、動脈硬化や乳がんがにかかる人が少なく、更年期症状が軽い人が多いことが分かっています。
近年になって健康効果が明らかになっている大豆ですが、そのカギとなる成分に、ポリフェノールの一種である「大豆イソフラボン」があります。
今回は大豆イソフラボンの中でも、最新の研究によって注目されている老化防止成分「エクオール」について紹介します。
2. 腸内細菌のおかげで生まれる「エクオール」
最近の健康ブームで、「大豆イソフラボン」という名前を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。しかし、大豆イソフラボンから作り出される「エクオール」について耳にしたことのある人は少ないかもしれません。
エクオールとは、大豆イソフラボンの中の「ダイゼイン」という成分が、腸内細菌の働きによって、変換されてできる成分です。研究により、エクオールには、肌のコラーゲンを増やして、シワなど肌の老化を防ぐ働きがあることが分かっています。
3. 女性ホルモン様の働きで更年期障害の緩和効果
エクオールの効果は肌の老化を抑える以外にもまだまだあります。エクオールは、女性ホルモンと同じような働きをすることが分かっています。
特に、女性は40代から閉経に向かって、女性ホルモンの分泌量が減ってしまうために、めまいやほてりなどの人によって色々な症状を訴える(不定愁訴)、更年期障害にかかりやすくなります。エクオールは女性ホルモンと似た働きをすることで、更年期障害の症状の軽減にも役立ち、医療現場でも使用されるようになりました。
大豆イソフラボンもその構造の特性から、女性ホルモンと似た働きをするとされていますが、エクオールはより女性ホルモンより近い働きをするそう。
さらに、エクオールを摂取させた人では骨密度の低下がゆるやかになり、骨粗鬆症を防ぐ働きもあることが分かっています。
4. 体内でエクオールを生み出せるのは日本人の約半数
エクオールを作れる体質かどうかは、日頃の大豆の摂取量も関わっていることが分かっています。大豆摂取量の少ない欧米人では、エクオールを産生する菌を持っている人はなんと全体の20~30%程度だそう。
一方の日本人は、昔から味噌や豆腐、納豆など、大豆を重要なタンパク源として摂取してきました。それでも、大豆を食べてきた日本人でも、体内でエクオールを生み出す腸内細菌を持っている人は、約半数程度と言われています。
また日本人でも、食事が欧米化している若い世代ほど、エクオールを作り出せる体質の割合は少ないとされています。
腸内にエクオールを生みだす菌がいなければ、健康に良いとされている大豆を摂取しても、「ダイゼイン」として排出されてしまいます。
エクオール産生菌を持っているか分かる方法
実は、エクオールを作れる体かどうかをチェックできる検査があります。
エクオールは、大豆イソフラボンを摂取後、腸内細菌によって産生され、体に作用したあとは尿中に排泄されることが分かっています。「ソイチェッカー」は、尿中にエクオールが含まれているかどうか確認することで、自分の体がエクオールを作れるかどうか確認することができます。
エクオールを産生できない体質の人には…
「ソイチェッカー」をして、残念ながら体内でエクオールを作りだせない人も、エクオールを摂取することで、健康効果を期待できます。最近では、エクオールのサプリメントも販売されているので、肌の老化や更年期障害などが気になる方は、取り入れてみてもよいでしょう。
5. まとめ
腸内細菌によって大豆イソフラボンを変換して作りだされる「エクオール」。
エクオールは、大豆をよく食べる日本人でも、約半数のみが作られるとされています。エクオールには、肌の老化を防いだり、女性ホルモンと似た働きをすることで閉経前後の更年期障害を改善する効果が期待できます。まずは、エクオールの効果が気になる方は、自分がエクオールを作れるか確認したり、サプリメントを摂取してみてはいかがでしょうか。
また、エクオールが産生できる体質の人でも、産生する菌がきちんと活動できるように、腸内環境が整えていきたいですね。