冬場の子どもの突然の激しい嘔吐、下痢に慌てた経験はないですか? どのような原因が考えられるのか、予防法、対処法などのを知っておくと安心ですね。
寒くなったなーと思ったら、突然やってくる吐き気
空気が乾燥し、寒くなってくると流行り出すのが、激しい嘔吐と下痢を引き起こす感染性胃腸炎です。俗に胃腸風邪やお腹の風邪とも呼ばれます。
感染性胃腸炎には、ウイルス感染によるものと細菌感染によるものがありますが、細菌感染によるものは、サルモネラ菌や腸炎ビブリオ、病原性大腸菌などが原因となり、梅雨時期から夏に食中毒を引き起こします。 冬に流行る感染性胃腸炎は、ウイルス感染によるものがほとんどです。 ロタウイルスやノロウイルスの感染によるものが有名です。
ロタウイルス、ノロウイルス感染ともに、激しい嘔吐、下痢、そして発熱の症状がみられますが、ノロウイルスは、2日間ほどで軽快していくのに対して、ロタウイルスは、特に、乳幼児が特に発症しやすく、重症化しやすいです。 ロタウイルス感染の場合は、下痢が5~7日間くらい続き、便が白っぽくなるのが特徴です。
感染経路はほとんどが「口から」
ウイルスが付いた手で口に触れて、ウイルスが口に入ることで感染したり、ウイルスに汚染された食品や水を食べたり、飲んだりすることで感染します。 また、保育園や幼稚園、学校などで一人が発症すると、その吐瀉物や便からウイルスが飛散したり、吐瀉物や便に触れた手を介して、ウイルスが口から入ることで感染が広がります。
ウイルスは熱や乾燥に強く、10~100個程度の少ない数のウイルスでも体内に入ると感染するほど、とても感染力が強いです。
かかってしまったら、とにかく安静。脱水に注意して
ウイルス性の胃腸炎にかかってしまったら、ウイルスを退治する特効薬はありません。 そのため、症状が落ち着くまで安静にするのが一番です。
下痢は、無理に止めると、ウイルスの排出を妨げ、症状が長引いてしまう恐れがありますので、下痢止めの服用は控えるのがよいでしょう。
嘔吐や下痢によって、脱水症状を起こしやすくなりますので、こまめに水分補給が必要です。 嘔吐や下痢の際、水分とともに、ナトリウムなどのミネラルも一緒に失われますので、水分補給には、経口補水液が最適です。赤ちゃん用やゼリータイプもあります。一度にたくさん与えると、また嘔吐を誘うことがあるので少量ずつあげましょう。 その他、りんご果汁、麦茶、野菜スープなどもよいですね。 お腹を刺激しないように常温のものを飲むようにしましょう。
症状がひどい間は、食事は控えて胃腸を休め、嘔吐が落ち着いて、食欲が出てきたら、重湯や裏ごし野菜などお腹にやさしいものから再開して、おかゆやうどんをくたくたに煮たものなど、消化のよいものを食べさせましょう。
水分が摂れているか、おしっこが出ているかをチェックして、水分が摂れない、おしっこが少ない、さらに、けいれんを起こしたり、意識が無い場合は、急いで病院を受診しましょう。
家庭内での二次感染予防に、手洗い・消毒を忘れずに
家庭内での二次感染予防には、石鹸でしっかり手を洗うこと、消毒が重要です。
ウイルス性胃腸炎の人の吐瀉物や便には、億単位の数のウイルスが含まれています。 吐瀉物や便の処理には、使い捨て手袋を使用して、直接手で触れないようにしましょう。 吐瀉物や便を処理した後、吐瀉物が付着した床や衣類、また、排便後のトイレは、消毒が必要です。 消毒方法は、次亜塩素酸ナトリウムを使用するか、または、85℃で1分以上加熱します。
次亜塩素酸ナトリウムの消毒液は市販もされていますが、家庭にある次亜塩素酸ナトリウムの入った塩素系漂白剤(ハイターやキッチンハイターなど)を薄めて、簡単に作れます。
塩素濃度約5%の市販の漂白剤を使用する場合の作り方をご紹介します。
次亜塩素酸ナトリウム消毒液の作り方・使用方法
1,000ppm(0.1%)液の作り方(50倍希釈):吐瀉物や便が付着したトイレや床、衣類など漬け置きの消毒に使用
500mLのペットボトルの半分くらいまで水を入れておき、塩素系漂白剤をペットボトルのキャップ約2杯分(約10mL)を入れて、500mLになるまで水を入れて(飲料が入っていたあたりまで)、よく振って使用します。
200ppm(0.02%)液の作り方(250倍希釈):調理器具の漬け置きやおもちゃ、便座、ドアノブ、手すりなど手で直接触る部分の消毒に使用
500mLのペットボトル半分くらいまで水を入れておき、塩素系漂白剤をペットボトルのキャップ約半杯分(約2mL)を入れて、500mLになるまで水を入れて(飲料が入っていたあたりまで)、よく振って使用します。
使用方法
どちらの濃度も漬け置き消毒の場合は、10分以上漬けて、その後水ですすぎます。 また、消毒液を十分浸した布やペーパータオルで拭いた場合は、10分くらいしてから水拭きします。 使用時は、皮膚への刺激が強いので、手袋を使用しましょう。換気もお忘れなく。 手指の消毒には使えません。 ペットボトルは誤飲しないように消毒液であることを明記したり、容器を変えたりして、十分に注意してください。
おわりに
ウイルス感染による胃腸炎にかかった場合は、安静にして、水分補給をしっかりして乗り切りましょう。 また、家族が感染性胃腸炎になった場合は、消毒、手洗い・うがいをしっかり行って、二次感染予防に努めていくことも重要です。