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バナナうんちで子供の未来を明るく!食育の伝道師がうんちで伝えたいこと

子供が大好きな「うんち」を題材にした絵本「バナナうんち」が出版されました。しかし、うんちが出てくる子供向けの絵本には珍しく、うんちの形がマキグソではありません。聞くと「バナナうんち」は食育をテーマにした子供にもわかりやすい食育の本!作者のはりまりえさんは食育を発信する人材を育てる「食育大学」の代表で、25年前から食事とうんちに関する子供向けの「食育劇」を発表されているんです。今回ははりまさんに、食育大学の活動や「バナナうんち」を出版することになった経緯を教えていただきました。

「妊婦から認知まで」幅広い世代に食の知識発信

食育大学は、食の大切さを世の中に発信できる人材を育てることを目的とした団体です。毎回、食品製造メーカーや医師、ジャーナリストなどユニークな方々に講義をしていただくのですが、参加者は貴重なお話をうかがえることはもちろん、安心して手に取れる商品を知ることもできて、作り手と買い手を繋げるプラットフォームにもなっていますね。

講義とは別に共通テーマを研究するグループ学習も行います。添加物や遺伝子組み換え食品などの難しいテーマを選びますが、参加者全員で調べていくので効率よく広い範囲をカバーできます。最後は内容をまとめて教科書として配布するので、講座が終わっても手元に残るんです。自分で調べたことは人に伝えたくなるものですから、知識を発信したくなる仕組みになっています。

食育は日本にほとんど浸透していないのが現状です。子供は親のリテラシー以上に食のことを学ぶ機会がありません。結果、リテラシーの低さが原因で、過度なダイエットや生活習慣病などの問題が起きているのではないでしょうか。食育大学は、食や料理の知識を広めることで、これらの社会問題を解決していくことが使命です。食は生まれてから死ぬまで共通した人間の栄養摂取の方法ですから、”妊婦”から”認知”まで幅広い世代に食の正しい知識を広める活動をしています。

子供たちの健全な成長をサポートしたい

食育大学を設立するきっかけになったのは、児童養護施設のイベントへ招かれて被災地へ行ったことでした。施設は津波の被害を免れて子供たちも無事だったそうですが、そこにいた子供たちは親がいるのに育ててもらえない子供たちでした。施設長が「この子たちは、親の虐待や育児放棄を理由に施設に入れられていたから助かった」とおっしゃっていたのを聞いて、とても複雑な気持ちになったんです。その後、他の施設のイベントにも料理の先生として参加して、3万9000人もの子供たちが同じ境遇で施設に入っていることを知りました。はじめは子供を棄てた親に対して怒りが込み上げてきましたが、だんだんと親も正しい知識を得る機会がなかった被害者なのではないかと思うようになっていったんです。

そして、この悲惨な状況を変えていくために、自分の得意な料理や食の分野で貢献できることはなんだろうと考えて、食の知識を発信する人材を育てる食育大学を設立しました。家庭の問題を周りの大人が支援できる体制を作って解決し、子供の健全な成長をサポートできる社会の実現を目指しています。

説得ではなく納得させてあげることが大切

子供に向けても食育を広めていくために、25年前から「食育劇」を作っています。食や健康のことを知る上で、重要なのがうんちの存在。特に子供はうんちが大好きですから、とても喜んでくれます。劇の中では、白雪姫が食べ物によって便秘になって太ってしまったり、スッキリうんちが出て美しくなったりします。バナナ状のうんちを出すために食べたほうがいいものと食べないほうがいいものを「天使マーク」と「ドクロマーク」に分けたり、白雪姫の体型が変化したり、視覚に訴える構成なので小さい子供でもわかるようになっているんです。

食育劇で大切にしているのは、子供たちを説得させるのではなく納得させること。親子の間だと、食べない方がいい理由を親が子供に伝えてあげないことが多いですが、子供は自分で納得すると、ドクロマークの食べ物を選ばなくなっていきます。以前、2歳の頃から食育劇を見てくれている男の子とそのお母さんと喫茶店に入ったことがあったんですが、コーヒーと一緒にチョコレートが出てきて大人が食べようとすると「チョコはドクロマークだよね」と言ってきたことがありました。子供は表現できないだけで、ちゃんと理解をしている!納得すればずっと覚えているんだな、と驚かされた出来事です。

最初は5~6人の子供の前でやっていた「食育劇」ですが、今では一回の公演に200人近いお客さんが来てくれるようになりました。親の世代へのアプローチだけでなく、子供たちに直接届けることで未来が変わることに期待しています。

「食育劇」をもっとたくさんの家庭に

これまで続けてきた「食育劇」を、さらにたくさんの人に知ってもらうために作ったのが絵本「バナナうんち」です。絵本の制作は食育への思いに共感してくださった方々のご協力があって実現することができました。私は伝えるためのアイディアはあっても、広めていく部分が苦手なので、今回、出版という形でたくさんのご家庭に伝われば嬉しいです。

広島県福山市の育児支援事業では、市からプレゼントされる子育てグッズの中に、来年度から「バナナうんち」を入れてもらえることにもなっています。子供たちに楽しんで欲しいというのはもちろんですが、まずは大人たちに「バナナうんち」を出せる食事がどんなに重要なのかを知ってもらうキッカケになって欲しいですね。

食育は心も体も健全にできる

現代は、料理をしない人やできない人が増えているので、これからは料理の技術をもっと広めていきたいと思っています。街の中にはフランス料理などの特別な料理を教える教室はたくさんあっても、簡単で、体によくて、豪華に見える、バナナうんちを出すための家庭料理を教えてくれるところはありません。料理ができるとバナナうんちを出すことができて健康になれるのはもちろん、家族の笑顔が増えて夫婦関係や親子関係に良い変化を起こして心も健康になることができるんです。

子供たちを食育で救うことも私の使命だと思っています。児童養護施設で出会ったような子供たちだけでなく、家庭のある子供たちにも、一人で生きていくための術を伝えていきたいんです。近年では若者のガンも増加傾向にあるなど、両親がいなくなっても自分で生きていける力が子供たちには必要です。そのために、包丁が持てれば1歳でも参加できる子供向けの料理教室も開催しています。3歳の子が豆腐の八つ切りに挑戦するんです。家庭では小さい子には包丁は握らせませんが、あえて握らせてあげることで刃物の怖さを知ることができるし、包丁を使えたことが「こんなに怖いことができた」という成功体験になって自信に繋がります。料理の技術だけでなく、心の成長もできるのが食育。食育を通じて、子供たちが体も心も健全に成長できる世界を作っていきたいです。

まとめ

うんちの絵本というと、トイレトレーニングや動物のうんちを題材にしたものを想像しますよね。この「バナナうんち」はうんちの絵本でありながら、毎日の食事について考えるきっかけにもなってくれます。これも、長年にわたって子供たちと食を通して向き合ってきた播磨さんだからこそ描ける世界なのではないでしょうか。いつも元気で笑顔の絶えない播磨さんの心の中に秘められた強い思いが形になった一冊です。私もバナナうんちが出せる家庭料理ならってみたい!
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