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帝王切開だと腸内フローラが引き継がれない?

どうして赤ちゃんとママの腸内フローラは似るの?

Petrenko Andriy/ Shutterstock.com 近年お腹の健康だけでなく、感染症や生活習慣病などの健康にも影響を与えるとして、腸内フローラが注目を集めています。腸内フローラは、腸内に無数に存在するさまざまな細菌の集まりのことで、生活習慣や体質によりひとりひとり異なるものです。 腸内フローラがどのようにできるかというと、その始まりは赤ちゃんが生まれるとき。お母さんのお腹にいる赤ちゃんの腸は、まだ無菌の状態です。その後赤ちゃんがお母さんの産道を通って、まさに生まれてこようとしているときに、腸内フローラの元となるさまざまな細菌をもらってくるのです。 そのため、自然分娩で生まれてきた赤ちゃんとお母さんの腸内フローラは、とてもよく似ているといわれています。

帝王切開で生まれるケースは?

ここで、赤ちゃんが帝王切開で生まれてくる場合はどうなるのか?と疑問に思われる人も多いはず。帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内フローラは、医師や看護師などの医療職、お母さんの皮膚の細菌の集まりと似ているという報告があります。近年は、出産後の母と子の最初のボディタッチが重要視されていますから、このときに赤ちゃんは母親から何らかの細菌をもらうというわけです。 どちらの腸内フローラがいいのかといえば、やはり自然分娩のものになります。膣は悪い細菌が増殖しないように、酸性に保たれています。実はこの膣の酸性を保っている菌が、乳酸菌などいわゆる腸内で善玉菌とされる細菌なのです。 自然分娩では、これらの体に有効な菌を早い段階で手に入れることができ、腸内細菌の種類を増やすことができるというメリットがあります。帝王切開では、これらの菌を手に入れることができないというわけではなく、徐々に獲得することはできるといわれています。 ただし、帝王切開で生まれた赤ちゃんは、しばらくの間、ある種の菌が少ないために、感染症にかかりやすくなったり、母親がアレルギー体質である場合は赤ちゃんもアレルギーになりやすくなるなどの報告もされています。

海外では新生児に膣液を塗ることも

And-One/ Shutterstock.com そういった情報を受けてか、海外で行われているのが、母親の膣液を赤ちゃんに塗る方法。具体的には、膣に1時間入れておいたガーゼを、赤ちゃんの顔や体に塗るそうです。 お母さんの産道を通らないために細菌が獲得できなかったから、それを後付けで与えるという考え。理屈はそれなりに通っているようにも見えます。

新生児への膣液塗布に反対する専門家も「

一方で、生まれたばかりの赤ちゃんに決して清潔とはいえない膣液を塗るという行為に、警鐘を鳴らしている医師もいます。健康な女性の膣は酸性に保たれてはいるものの、本来膣には雑菌がいっぱいの状態。もしかしたら何らかの感染性の細菌やウイルスがいる可能性もあります。このような膣液を、免疫が弱い生まれたばかりの赤ちゃんに塗ることは、健康に危険が及ぶ可能性もあると考える人もいます。

帝王切開でも母乳で腸内細菌を手に入れることができる

Zurijeta/ Shutterstock.com じゃあ帝王切開で生まれた赤ちゃんはどうすればいいのと思う人もいるかもしれません。赤ちゃんの腸内細菌の獲得は、母乳も大きな役割を果たします。帝王切開で生まれた赤ちゃんは、自然分娩の赤ちゃんに比べて、腸内細菌の獲得は遅れがちになりますが、徐々に腸内フローラを形成することができるのです。具体的には生後1年ほど経てば、腸内フローラの元となる細菌を獲得できるそう。

おわりに

今回ご紹介した内容は、あくまで研究過程であり、今後の追加の報告が気になるところです。もし実際にどうするか……という場面に出会うことがあれば、もちろん、担当の産科医と相談してみることをおすすめします。
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