便秘や下痢に効くツボとは?鍼灸師が教える「ツボで腸活する方法」

ツボは体の不調を緩和すると言われ、古くから健康促進のために役立てられてきました。

数多くあるツボのなかには、便秘や下痢、腸活に効果的なツボもあります

便秘や下痢のときなど腸の不調が続くときは「ツボ押し」を試してみてください。

今回は鍼灸師・メディカルアロマセラピストの菅野かおり先生に、便秘と下痢と腸活に効果的なツボを教えていただきました。

そもそも「ツボ」とは?

ツボは全身に分布しており、東洋医学ではエネルギーを全身に循環させ、生命活動をつかさどるものだと考えられています。

人間には12の主要な経絡があるといわれ、その上に点在しているのがツボ。心身のバランスが崩れると、特定のツボに「ズン」とした圧痛の反応が現れます。

ツボは不調を改善する施術点でもあるので、そこに刺激を与えると症状を緩和したり体を調整したりすることができるとされているのです。紀元前から行われてきた歴史のある治療法で、WHO(世界保健機関)でもツボの治療効果は認められています。

東洋医学では「気・血・水」の3つがスムーズに全身をめぐることで心身のバランスが保たれると考えます。

「気」は元気など心身のエネルギーのこと。神経系とも関連します。

「血」は血液の循環機能やホルモン分泌にかかわること。

「水」は汗やリンパ液など血液以外の体液のことで、皮膚や粘膜などの免疫機能にもかかわります。

この3つのいずれかが不足したり、過多したりすると体に不調が現れます。

「ツボ押し」で気をつけること

「ツボ押し」は一定時間圧をかける「持続圧」が基本です。

10秒程度の持続圧を3回ずつおこなってみましょう。

下記の点に気をつけてみてください。

ツボの位置

ツボの位置はあくまで目安です。

体格や体調によって位置が若干ずれるので、指標に沿って押してみても「ズン」とこなかった場合は、少しだけ指をずらして重い圧痛を感じる部位を探してみましょう。

押す強さ

ツボはを「心地よい」と感じる程度で押してください。

強い力で長く押すと青アザになってしまうので注意しましょう。

朝晩の1日2セット

1日に何度もツボ押しをしていると翌日筋肉痛のような痛みが出ることがあります。

10秒間の持続圧を3回繰り返すのを1セットにして、朝晩の2セットおこなうのが適度な回数です。

便秘に効果的なツボ

ツボのなかでも、便秘に効果的なツボは「大巨(だいこ)」「上巨虚(じょうこきょ)」「大腸兪(だいちょうゆ)」です。

それぞれの場所を参考にツボ押しをしてみましょう。

「大巨(だいこ)」

へそから指3本分左右に移動したところから指3本下の部分

「上巨虚(じょうこきょ)」

膝の皿のくぼみから指8本下のすねの外側

「大腸兪(だいちょうゆ)」

骨盤の高さで背骨中央のでっぱりから左右指2本分移動した部分

効果的に便秘のツボを刺激する方法

便秘のときはツボ刺激とお腹のマッサージを組み合わせるのがおすすめ。アロマテラピーで用いるトリートメントオイルを使うとより効果的です。

※アロマテラピーのトリートメントオイルについては「アロマで癒されながら腸活したい。便秘や下痢に有効な精油とは?」をご参照ください。

お腹マッサージとツボ刺激法

1. 仰向けに寝て、お腹の筋肉を緩めるために膝を曲げる

2. へその周りに大きく「の」の字を書くように「へそ下→右腹→左腹」へと10回さする

3. 左下腹部の股関節上付近を少しずつずらして「大巨」のツボを押す。便秘のときはこのあたりに溜まって固くなっているものに触れるので、少し力を入れて指全体でゆっくりもみほぐす

下痢に効果的なツボ

下痢には「石門(せきもん)」「梁丘(りょうきゅう)」「魚際(ぎょさい)」のツボが効果的です。

「石門(せきもん)」

へそから指3本下

「梁丘(りょうきゅう)」

膝の皿の外上角から指3本上の部分

「魚際(ぎょさい)」

手の裏表のきわにある母指丘の部分。下痢になると静脈が青く目立ってくるツボとして有名です。

効果的に下痢のツボを刺激する方法

下痢のときはまず温めて痛みを緩和することをおすすめします。

下腹部にある石門のツボにに使い捨てカイロを貼ってみましょう。

腸活に効果的なツボ

腸活には「足三里(あしさんり)」「大腸兪(だいちょうゆ)」「小腸兪(しょうちょうゆ)」のツボが効果的です。

「足三里(あしさんり)」

膝の皿の外下角から指4本下

「大腸兪(だいちょうゆ)」

骨盤の高さで背骨中央から左右指2本分移動した部分

「小腸兪(しょうちょうゆ)」

仙骨上にあり大腸兪から指2本下の部分

効果的に腸活のツボを刺激する方法

大腸兪から小腸兪にかけては近距離の直線上なので、同時に刺激するとより効果的です。両手を腰にあてて、両親指で上から下に押しながらスライドさせてみましょう。マッサージボールやゴルフボールを使って、転がして刺激を与えるのもおすすめです。

まとめ

場所を選ばず気軽にできる「ツボ押し」。

薬を飲むほどではないけど腸の不調を感じるとき、腸活を促進する方法のひとつとして毎日おこなうのもおすすめです。

便秘や下痢、腸の不調緩和にぜひ一度「ツボ押し」を試してみてください。

コバヤシマユコ

手作りの発酵食品とヨガで腸活をするフリーライター。息子のアレルギー改善策としてはじめたのがきっかけの腸活ですが、今ではすっかり生活の一部になっています。便秘よりも下痢になりやすい体質。下痢になったら米麹の甘酒を飲んで、腸を整えています。 この著者の他の記事を読む

菅野かおり

アメリカでの解剖実習経験を活かした現代医療的鍼灸治療と、全身の骨格・筋肉バランスを整える独自のメディカルアロマテラピーを開発して、鍼灸アロマテラピー治療院「かおり&やすらぎ」を開院。「緑が丘クリニック(心療内科・小児科)」にて医師と、アロマテラピーを取り入れた心身の総合的治療にも取り組んでいる。 この著者の他の記事を読む