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どうして善玉菌は生きて腸まで届かない?

菌にとって最大の敵。消化液の働き

4zevar/ Shutterstock.com 便秘や下痢で悩んでいる人の中には、腸内環境を改善するために、ヨーグルトなどの発酵食品を意識して食べている人は多いでしょう。これらの発酵食品に含まれているのが、乳酸菌やビフィズス菌などいわゆる腸内にもいる善玉菌。発酵食品は腸内環境を改善する作用があるとされています。 しかし、発酵食品に含まれている善玉菌は、そのほとんどが腸に届く前に死んでしまうといわれています。その主な原因となるのが消化管から分泌される胃酸などの消化液です。

消化液にとっては「いい菌」も「悪い菌」も同じ

Viktorija Reuta/ Shutterstock.com 胃は食事や時間によって酸性度を変化させますが、その役割を果たしているのが胃酸です。空腹時の胃酸の酸性度は強酸で、食酢くらい。食酢というと大したことはなさそうですが、歯を溶かしたり、粘膜を荒らすほどの効果があります。 この胃酸は食べ物を消化するだけでなく、食べ物と一緒に入っていた雑菌やウィルスなどを殺菌する働きが。私たちが感染症や食中毒に簡単にならないのもこのためです。 外から体内に侵入してくる脅威から、体を守るために作用する胃酸ですが、体に良い菌と悪い菌の区別はつきません。そのため、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌の多くが、この胃酸により死んでしまうのです。 また、幸いにして胃酸の攻撃をくぐり抜けた善玉菌は、今度は胃の次の消化器にあたる十二指腸で、胆汁の作用を受けます。アルカリ性である胆汁によっても、善玉菌は死んでしまうことに。

死んでいても大丈夫! 腸に届くことが大事

Daxiao Productions / Shutterstock.com 口から入った善玉菌がようやく腸にたどり着くのは、すでに死んでしまった状態。せっかくヨーグルトなどの発酵食品を食べても、菌が死んでしまうのなら意味がないのでは?と思う人もいるかもしれません。 心配しなくても大丈夫。乳酸菌やビフィズス菌が、腸に届くときに死んでいる状態だとしても、腸内環境にとってはプラスになるのです。死んでしまった善玉菌の腸内の働きは次のようになります。
  • もともと腸内にいる善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やす
  • 増えた善玉菌が悪玉菌を退治し、その死骸にくっつくことで体外への排泄を促す
このように、体にたどりついた死んだ善玉菌は、食物繊維のような働きをするのです。

生きて腸まで届く「プロバイオティクス」製品

Brasil Creativo/ Shutterstock.com 腸内に届くのは、なにも死んだ菌ばかりではありません。最近では、乳酸菌やビフィズス菌を胃酸に負けないように強くした「プロバイオティクス」製品も開発され、注目を集めています。 プロバイオティクスは腸内まで生きた状態で届く善玉菌。腸内にもともといる善玉菌を活性化して、腸内環境を整えるのにより効果が高いとされています。そのほかにもプロバイオティクスには次のような効果が期待されています。
  • 腸内の感染症を防ぐ
  • 花粉症などのアレルギーを予防する
  • 生活習慣病を予防する
  • がん予防する
  しかし、口から入ったプロバイオティクスが、その後も腸内にずっと定着することは、残念ながらないとか。腸内環境を整える効果を期待するためには、毎日プロバイオティクスが含まれた食品を摂取する必要があるといわれています。 そのため腸内の善玉菌が増えないのなら、死んでいても、生きていてもそこまで差はないとする専門家も。今後のプロバイオティクスの研究報告についても、注目する必要があるでしょう。

まとめ

ヨーグルトなどに含まれる善玉菌は、消化液の働きにより腸内に死んで届くものと生きて届くものがあります。どちらもお腹の中の作用は異なるものの、腸内環境改善に役立つものです。自分に合ったヨーグルトなどの発酵食品を選んで、腸内環境を整えるのに役立てるとよいでしょう。
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