食物繊維たっぷり! 今が旬のゆり根を食べよう
ゆり根と聞いて皆さんは何を想像されますか?
高級食材?茶碗蒸しの具?そもそもあまり食べたことがないからイメージが湧かないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かにゆり根は、家庭の食卓に馴染み深い食材ではないかもしれません。ですが、実は豊富な栄養素を含み、腸内環境まで整えてしまうカラダに優しい食材、それがゆり根なのです。
今回はゆり根の食べ方や栄養、効能などについてご紹介します。
ゆり根ってどんな食材?
ゆり根はじゃがいものようなホクホク感とほんのりとした上品な甘さが特徴の食材です。
主な生産地は北海道ですが、和え物や蒸し物など高級和食や正月用の食材として本州での人気が高く、特に関西地方では年間生産量の約70%が消費されています。
ゆり根が高級食材といわれるのにはいくつか理由がありますが、その最たるものは、畑への植え付けから収穫まで年数が約6年かかるということです。また畑は毎年引越しが必要で、一度使用した畑は約7年空けなければなりません。そのうえ収穫も手作業でおこなわなければならないほどデリケートな食材ですから、栽培に大変な労力がかかるのです。
ゆり根は薬膳食材?漢方薬にも使われるゆり根の栄養成分
ゆり根の主な栄養成分は炭水化物であるデンプンです。しかし、実はビタミンや鉄分、カリウム、食物繊維など豊富な栄養素を含んでいます。中でもカリウムと食物繊維の含有量は、野菜の中でもトップクラスです。
カリウムは体内の余計な塩分(ナトリウム)を利尿作用によって排出するため、塩分過多な食事の摂取などによって引き起こされる高血圧やむくみの予防に適しています。ゆり根には100gあたり740mgのカリウムが含まれており、同グラムで比較すると、スイカの6倍、きゅうりや冬瓜の3倍以上もあります。
また、老廃物を排出する効果もあるため、ダイエットにもおすすめです。ただしあくまで主成分はデンプンなので、カロリーも100gあたり125kcalと比較的高く、食べ過ぎには注意が必要です。
食物繊維については100g中5.4gと豊富で、100g中5.7gの食物繊維を含むゴボウに迫る勢いです。しかし実は食物繊維には水溶性食物繊維と不水溶性食物繊維の2種類があり、水溶性食物繊維だけでみるとゴボウよりも多く、乾物などを除くと実質野菜の中でトップの含有率を誇るのです。
他にもデンプンによって守られているため、熱によって壊されない各種ビタミンも含んでおり、古くから生薬として使われ、漢方では百合=ビャクゴウと親しまれているのも頷けます。
ゆり根は自然の整腸剤?食物繊維が豊富なゆり根で腸内環境を整えよう
食物繊維、特に水溶性食物繊維が豊富ということは整腸作用が高いことを示します。
私たちの腸内には腸内細菌と呼ばれるたくさんの細菌が住み着いており、種類にして1万7千〜3万種、個数にして500兆〜1000兆個ほどいます。これらはビフィズス菌などの善玉菌、ウェルシュ菌などの悪玉菌、どちらにも属さない日和見菌の大きく3種類に分けられます。この3種類のバランスによって腸内は維持されているのですが、善玉菌が優勢である状態が望ましく、ゆり根はそれにとても役に立ちます。
その理由は、ゆり根の中に豊富に含まれるグルコマンナンにあります。
水溶性食物繊維のひとつであるグルコマンナンは、腸内細菌によって分解されるとビフィズス菌のえさであるオリゴ糖に変化し、その結果ビフィズス菌が増え、善玉菌が優勢になるのです。
またグルコマンナンは消化酵素では消化できないので、胃の中で水分に触れると何十倍もの大きさに膨張し、膨張したグルコマンナンが吸収されずに大腸まで到達することで、水分を含むボリュームの増した便となって大腸の収縮運動を助け排便を促します。
この二つの効果から、ゆり根は健康な腸を維持するのに役立つ食材といえるのです。
ただし、メリットばかりではありません。グルコマンナンを大量に摂取するとその分水分も過剰に吸収され、脱水症状が起こる可能性があります。また、もともと大腸自体が弱っている場合、ボリュームが増えた便によって逆にお腹が張ってしまう可能性もあります。適度な摂取を心がけましょう。
ゆり根のおいしくて簡単な料理方法を紹介
最後に旬の食材でもあるゆり根の美味しい食べ方をご紹介いたします。おすすめはズバリ「バター炒め」です。じゃがいもに似た食感のゆり根はバターとの相性も抜群で、調理も一枚ずつ剥がして塩コショウで炒めるだけ、と簡単ですので、どなたにも手軽に楽しんでいただけます。
白ワインなどのおつまみにも最適ですので、ぜひ一度お試しください。
冬の滋養強壮にピッタリのゆり根、適度においしく食べて寒い冬を元気に乗り切りましょう。
ライター Piron3
食品会社で働く傍ら、うんトピで記事執筆中。
食品がスゴク腸活に役立つことを知って、今更ながらびっくり!
仕事の経験と知識を活かし、老若男女にわかりやすい記事の執筆を心がけます。