お腹にガスがたまってる?それ「呑気症(空気嚥下症)」のサインかも

「おならやゲップがたくさん出る」「お腹のハリがひどくなった」という経験、ありませんか。おならやゲップは生理現象とはいえ、我慢できないほどになると生活に支障が出てしまいますよね。過剰なおならやゲップが気になるときは「呑気症(どんきしょう)」かもしれません。その原因と日常的に心がけたい対策を元・東京医科歯科大学教授の小野繁先生に教えていただきました。

お腹にガスがたまってつらいなら呑気症(空気嚥下症)かも

呑気症は、「空気嚥下症(くうきえんげしょう)」とも呼ばれ、文字通り空気を飲んでしまうことで起こります。過剰に空気を飲み込むと、お腹の中に空気が溜まってしまい、おならやゲップ、お腹のハリと言った症状を引き起こすのです。

おならやゲップは、普通に生活していれば誰もがする生理現象。しかし、普通よりも回数が多く、生活に支障がある場合には呑気症と呼ばれます。具体的な回数が決まっている訳ではありませんが、生活の中で我慢ができないほどのおならやゲップが出る場合には呑気症の可能性があると考えて良いでしょう。

呑気症は、身体の疾患によって起こる症状ではありません。そのため、病院を受診しても原因がわからないことがほとんど。レントゲン写真でも内臓(消化管)に空気が溜まってしまっているのが写るだけなので、受診する病院を何度も変える「ドクターショッピング」を行ってしまうことも多く、おならやゲップが過剰に出たり、お腹のハリを感じたりする原因はわからないことがほとんどです。病院での治療方法がなかったとしても、呑気症は疾患ではないので、メカニズムと対策を理解すれば自分で解決して症状を和らげることができます。

呑気症は過剰な生理現象で起こる

呑気症は、空気を過剰に飲み込んでお腹の中に溜め込んでしまうことで起こります。空気は単独で飲み込むということはほぼありません。通常は食事や水分を摂取するとき、唾液を飲み込むときなどに必ず一緒に飲み込まれて、体の中に取り込まれます。

通常は、飲み込むタイミングで取り込んだ余分な空気を鼻から出しますが、鼻づまりや早食い、喋りながらの食事で鼻からうまく空気を出すことができずに、胃や腸まで届いて溜まってしまうのです。

他にも、ストレスによる噛み締めが原因で、呑気症を引き起こしている場合も。ものを飲み込むときに起こる「嚥下(えんげ)反射」は、上顎に舌がついた状態で口の中の容積を小さくすることで起こります。通常、何もしていない状態の口の中は、上下の奥歯は合わせていませんが、常に噛み締めをしていると上下の奥歯が常に接地して、口の容積が小さい状態になります。そうすると嚥下反射のおこる回数が通常よりも増えてしまい、より多くの空気が体内に取り込まれて、おならやゲップの回数を増やしてしまうのです。

呑気症は、どう対処したらいい?

呑気症は、体の疾患によって起こる症状ではないので、病院へ行って治療をする病気ではありません。そのため、私たちが呑気症の起こる因果関係を理解して、生活の中で気をつけるポイントを見つけることで改善していくことになります。

・鼻から空気を排出する
宴会などでの会話しながらの食事のときや、早食いをしてしまうときは、食事と一緒に飲み込んだ空気を鼻から排出できずに、どんどん食べ物と一緒に空気をお腹の中へ送り込んでしまうので、お腹に空気が溜まってしまいます。食事のときには落ち着いて、ゆっくりと食べることを意識してみましょう。ゆっくり食べると食べ過ぎの防止にも繋がりますね。

・口の中にはスペースを作る
噛み締めをしてしまっている場合は、意識的に口の中を緩ませて上下の歯の間にスペースを作るようにしてみましょう。デスクワークをしている方は、作業をしながら無意識に顎に力が入って歯を噛んでしまっていることもあります。定期的に息抜きをして顎を緩ませるようにしてみてください。

・鼻づまりを解消する
鼻づまりがあると鼻呼吸をすることができないため、お腹の中に空気を溜め込んでしまいます。まずは薬を使ったり耳鼻科を受診するなど、鼻づまりを解消するようにしてみてください。

よくならない場合は病院へ

おならやお腹のハリを感じる場合、大腸ガンや腸閉塞などの別の病気がある可能性も考えられます。生活の中で空気や唾液を飲み込まないように、上記のポイントを意識をしても変化がない場合は、一度病院を受診して検査をしてもらうようにしましょう。

まとめ

生理現象とはいえ、我慢ができないほどのおならやゲップが出てしまうと病気を疑ってしまいますよね。でも、どちらも自分の生活習慣で克服することができるかもしれません。特に、忙しい方は、身体が緊張して噛み締めをしてしまったり、早食いをしてしまったり、唾液を飲み込んでしまったりなど空気を飲み込みやすい状態になっているかも。呑気症は疾患ではない、ということを正しく理解して、必要以上に緊張しない生活を心がけたいですね。
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