1. じつは日本人に多い「IBS」
便秘がちだと思ったら、急に腹痛がして、下痢でトイレに駆け込むなんてことはありませんか?
もしかしたらそれは、IBSかもしれません。IBSは、過敏性腸症候群とも呼ばれており、大腸の病気の一つです。原因についてストレスなどの心理的要因や、生活習慣の乱れが指摘されています。特に、繊細な人がかかりやすいと言われており、日本人では 10 人に1人がIBSにかかっていると言われています。
2. あなたの便秘も IBS のせいかも
IBS の症状で最も多いのが便秘と下痢です。この二つ症状は一見相反するもののように思えますが、IBSでは腸の活動が低下したり、亢進(こうしん:高まること)することで、便秘や下痢のどちらかの症状が現れたり、または交互に現れたりすることもあります。
最近になって、IBSは幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」が関与しているのではないかと指摘されています。セロトニンの90%は腸内にありますが、IBSにかかる人は、ストレスを強く感じやすい傾向にあります。腸は「第2の脳」とい呼ばれているように、ストレスの影響を受けやすい臓器の一つです。脳がストレスを感じると、腸内よりセロトニンが分泌され、腸の運動に影響を与えるため、腹痛や下痢などの症状が現れるのです。
さらに、IBSは、症状によってはめまい、頭痛などの自律神経失調症状や、不安、抑うつ、不眠などの精神症状が現れることもあります。
3. どうやって見極めたらいいの? IBSのセルフチェックリスト
普通の下痢や便秘、その他の腸の疾患と見分けが難しいのが、IBSの症状です。症状である便秘や下痢が、IBSによるものか、それともその他に疾患によるものなのかを見分けるセルフチェックリストを紹介します。心当たりのある方は、チェックしてみてください。
- 普段から便秘気味、または下痢気味である。
- 便秘と下痢を繰り返している。
- 1週間に下痢が3回以上の下痢がある。
- お腹の不調が一か月以上続いている。
- トイレで排便した後、腹痛が和らぐ。
- ガスがたまりやすく、お腹がよく張る。
- 緊張すると、お腹が痛くなり、トイレへ行きたくなる。
- 学校や仕事がない休日は症状が出ない。
上記の内容に3つ以上当てはまる方は、IBSの可能性があります。つらい症状に悩む前に、早めに病院の消化器科に受診し治療を受けましょう。
4. IBS 治療は気長にじっくりしっかりが大事
腸の働きはすぐに劇的に改善するものではないので、IBSの治療は気長に行うことが大切です。
まず最初に、原因と思われるストレスを軽減したり、生活習慣を見直してみましょう。
生活習慣の見直しでは、
- 規則正しく栄養バランスの取れた食事を3度食べる。
- 香辛料などの刺激物は避ける。
- アルコール、タバコを避ける。
- 睡眠を十分取る。
- 排便習慣をつける。
などが挙げられます。
生活習慣を正せば、自然とストレスに強い身体になり、IBSの症状を改善させることができます。下痢症状が多い方は、冷たい飲み物や刺激物は控えるようにし、便秘症状の多い方は、水分や食物繊維を意識して取るようにしましょう。
またIBSの原因によっては、セロトニン受容体拮抗薬を使用することもあり、IBS改善が報告されています。
治療中に生じるIBSの症状に対しては、下痢症状には下痢止めを、便秘症状には整腸剤を使って、腸の働きをサポートします。また、不安などの精神症状がある場合には、それに対する心理療法や薬物療法が適用されます。IBSでは、症状を気にすることでストレスを感じ、悪化することもあるので、症状をコントロールして上手に付き合っていくことが大切です。
5. まとめ
下痢と便秘を繰り返すIBS。その原因には、精神的要因や生活習慣の乱れなどの関連性が指摘されており、まずはそこから改善していくことが大事です。IBSの治療は長期間におよぶこともあるので、上手にコントロールしていきたいですね。